「深刻な状態のアンダードッグ」「栄光の奪還へ」なでしこジャパンに対する欧州メディアの前評判、注目の選手は?

2019年06月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

明日、初戦を控えるなでしこジャパン

新たななでしこジャパンのスタイルを打ち出すことができるのか。 (C) Getty Images

 現地時間6月7日に、フランスで女子ワールドカップが開幕した。

 なでしこジャパンは、ここ2大会で優勝、準優勝とファイナル進出の好成績を収めている。だが、2016年リオ五輪は予選で敗退。以降、高倉監督のもとで徐々に世代交代を推し進め、今大会は昨年のU-20女子ワールドカップの優勝メンバーである宝田沙織、南萌華ら新世代を融合して大舞台に挑むことになる。

 なでしこが属するグループDはイングランドのほか、スコットランド、アルゼンチンという強豪国の名前が並ぶ。はたして、海外メディアはなでしこをどう評価しているのか。欧州メディアの見解をいくつか紹介しよう。

 グループステージでは、なでしこと同じグループDに属し、現地時間19日に対戦するイングランドの全国紙『The Guardian』は、こう評している。

「2011年にワールドカップを制した日本代表チームは、選手個々の力とチームワークで世界を制した。前回大会はファイナリストになったが、アメリカに敗れた。今回は再び栄冠を取り戻すために燃えているだろう。

 だが、世界的に戦術的な底上げが為された現代サッカーでは、彼女たちだけが際立った存在ではなくなっている。だからこそ高倉麻子監督は状況に応じて柔軟で多様なプレースタイルを提唱。その方針がうまく実現したとき、彼女たちはとても面白いチームに変貌するだろう。ただし実現しない場合は、平凡なチームに終わる可能性が高く、それは敗北とほぼ同義だ」

 注目のプレーヤーには岩渕真奈ら前回大会も参加していたメンバーに加え、横山久美の名前を挙げた。「25歳のFWは対戦する守備陣の本当の脅威である。狭いスペースをドリブルで突破し、予測のつかない動きからシュートを放つ」と警戒を露わにしている。

 また、開催国フランスの『ouest france』紙は「優勝の経験はあるが、深刻な状態のアンダードッグ」と苦戦を予想。注目のプレーヤーには、主将の熊谷紗希の名を挙げ、「女子チャンピオンズリーグを制したリヨンでプレーする目玉の選手。彼女の働きによってこの大会の"勝者"となれるのか注目される」とした。

 そしてスペイン紙『MARCA』は、直前に行なったテストマッチ(スペイン1-1日本)の内容から「スペインのスペースを使った素早いプレーに対応しきれずに、日本のチームの約束事は乱れたようだった。彼女たちは決定機もいくつか迎えたものの外し、勝ち切る勢いを失ってしまっていた」と、仕上がりに不安があると指摘している。そんななかでも籾木結花は目を引いたようで「幾度もゴールに近いシーンを演出し、存在感を発揮した」と評した。

 日本は10日(日本時間11日1時)に初戦のアルゼンチン戦を迎える。高倉監督率いるなでしこたちは、初戦を勝利で飾ることができるだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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