前半戦最大の山場を迎えるJ2首位の山形。「正直、出来すぎなくらい」と振り返る木山監督が、上位陣との4連戦で求めるものは?

2019年06月07日 嶋 守生

6月2週から甲府、水戸、長崎、柏との直接対決

16節の鹿児島戦はJ・バイアーノ(9番)のゴールで勝利をもぎ取った。写真:徳原隆元

 鹿児島ユナイテッドFCに1-0で勝利した山形は、J2リーグ16節を終えて3度目の首位に浮上した。まだシーズンの3分の1を過ぎただけだが、「正直、出来すぎなくらい」と木山隆之監督はここまでの成績を振り返っている。
 
 リーグ最多の9勝を挙げ、まだ2敗と負けも少ない。勝点84に届く1試合あたり勝点2ペースなのだから、ここまでの成績は申し分ないだろう。しかし、それに自分たちの実力が伴っているかと言うと、指揮官の目にはそう映っていないようだ。
 
「我々が相手よりも少し上回れているのは、守備の意識と強度、あと走れること。それ以外は全然足りてない」
 
 特に今、力不足に直面しているのは攻撃面。ボールを奪ったあとに、速攻も遅攻もプレー精度が低すぎることだ。
 
 ファジアーノ岡山戦や鹿児島戦のように、守備に追われる試合のほとんどは、せっかくボールを奪っても、安易なミスや不要なファウルでボール失っては再び攻め込まれるという悪循環によるものなのだ。
 

 今はサイドでボールを持って起点を作れる右ウィングバックの三鬼海が欠場中。ピッチを幅広く展開する回数が極端に減ったため、相手のプレッシャーを正面から受けてボールを保持できなくなっているという戦術的な理由はあるが、個々の技量もまだまだ足りていない。
 
 木山監督は、目線を変えてカウンターの構築にも取り組んでいるが、まだまだ武器とは呼べないレベル。狙う意識はあれど、精度不足やイメージ不足でシュートに持ち込める場面はかなり少ないのが現状だ。
 
 持ち前の堅守に運も味方して首位に立てているものの、チームはまだまだ発展途上にあり、怪我人が増え始めたことで苦しい時期に差し掛かっている。
 
 それに合わせるかのように、6月2週から、甲府、水戸、長崎、柏と、上位との直接対決4連戦に突入する。前半戦最大の山場とチームの苦境が重なってしまったが、こういった難局を乗り越えてこそ、J1昇格の道も見えてくる。
 
 その大事な連戦を乗り切るためには? と木山監督に尋ねると、特別なことや新しいことをするのは違うと答えてこう話した。
 

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