サラーは“憎悪”も打ち砕く! 英大学研究チームがリバプール周辺地域のヘイトクライム減少を発表

2019年06月05日 サッカーダイジェストWeb編集部

SNSでのヘイトツイートも半分に減少!

リバプールをCL戴冠に導く殊勝な活躍をしてみせたサラー(11番)。そのパフォーマンスはピッチ外にも影響を及ぼしている。 (C) Getty Images

 一昨年の夏にマージーサイドにやってきたエジプトの点取り屋に関して、興味深い事実が明らかになった。

 2017年の夏にローマからリバプールに加入したサラーは、1年目からプレミアリーグ記録を更新する32得点を叩き込んで、大黒柱として活躍。迎えた今シーズンも公式戦52試合で27ゴールを決め、今月1日に開催されたトッテナムとのチャンピオンズ・リーグ決勝でも開始2分に値千金の先制PKを決めるなど、レッズの14年ぶりのビッグイヤー獲得に大きく貢献した。

 たった2年足らずでリバプールの象徴と言っても過言ではない選手へ昇華したサラー。その存在は同地域の環境改善にも繋がっているという。この度、イギリスにあるスタンフォード大学の研究チームが興味深い統計データを発表した。

 現地時間6月3日に米メディアの『ESPN』が伝えたところによれば、同大学の研究チームが行なった調査の結果、サラーがリバプールに加入して以来、マージーサイド地域における"ヘイトクライム(憎悪犯罪)"が、発生件数が19パーセントも減少していることが判明した。
 
 同地域では以前から人種や宗教、さらに性的指向などに対する偏見的な事件が多発し、問題視されていた。その事実が、サッカー界にも悪影響をもたらしていたことは、元リバプールのイングランド代表FWラヒーム・スターリング(現マンチェスター・シティ)が、「リバプールに来てから(サッカー人生で)初めて差別にあった」と赤裸々に告白していることからも分かる。

 サラーの存在はそうした環境に変化をもたらしているのだ。SNSにも変化が見られている。

 スタンフォード大が、リバプール・ファンのSNSにおける15万人分のツイートを調査した結果、反イスラム主義的なコメントが50パーセントも減っているというのである。この事実を含めても、サラーの活躍はサッカー界に根深く残り続ける差別問題を和らげるのに一役買っていると言える。

 無論、調査結果には、専門家たちも目を見張っている。地元紙『Liverpool Echo』の取材に応じた英国内のムスリム差別被害者を守るグループ『Tell MAMA』の所長を務めるイマム・アッタさんは次のように語っている。

「"モー"・サラーがリバプールに加わったことで、クラブを愛する大衆たちが変わった。サラーに対し、差別的な皮肉を言うのではなく、感心し、崇拝するようになった。こうした全てのポジティブな感情が障壁を打ち破って、ムスリムに対する前向きな見方を増やしている」

 宗教や人種に対する偏見に変化をもたらしているサラー。彼がリバプールにもたらした効果は、もはや計り知れない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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