オリヴェイラ体制の浦和はなぜ失速したのか? 監督交代に至るまでレギュラー組の練習は…

2019年05月31日 佐藤亮太

十分すぎるほどの練習を積んでいた控え組に対し、レギュラー組は回復中心のメニューに

ACLでは16強進出を決めたものの、リーグでは4連敗と不振を極める浦和。監督交代は浮上への特効薬となるか。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 5月29日、浦和レッズからオズワルド・オリヴェイラ監督の契約解除が発表された。ACLでは決勝トーナメント進出を決めたものの、リーグは13節のホーム広島戦で0-4の完封負けで4連敗。ここまで5勝2分6敗の11位と低迷する。しかもホームでの戦績は1勝1分け5敗と一向に振るわず、クラブが決断に踏み切った。
 
 昨年4月、オリヴェイラ監督は救世主だった。チームに足りなかった粘り強さ、勝負強さをフィジカル強化で植え付け、終わってみればリーグ5位。天皇杯で優勝し、ACL出場権を自力で獲得した。今季はリーグとACLの二冠獲得を標榜し、2チームできるほどの戦力を揃えた。
 
 しかし、理想と現実の落差はあまりに大きかった。いったい、この差を生み出した原因は何か? 端的に言えば、練習不足。これに尽きる。レギュラー組は練習らしい練習がほぼできなかったと言っていい。
 
 たとえば、5月21日のACL・北京国安戦から26日の広島戦までのスケジュールを見てみる。22日はオフ。23日、北京戦先発組は室内調整。24日はインテンシティを上げるとともに攻守の切り替えを目的としたゲーム。25日は非公開練習(セットプレーの確認と思われる)。時間の余裕がある週は、オフ明け2日間、レギュラー組は室内調整に充てられる。
 
 一方、いわゆる控え組は、ある週ではオフ明け、大学とのトレーニングマッチ。翌日、2時間近いメニューをこなす。全体練習後、残って追加メニューを行なうこともしばしばあった。
 
 つまり、レギュラー組はコンディションの回復を最優先にするあまり、肝心のゲーム体力を培い、戦術や連係を深めきれないまま、試合を迎えていた。後半になるにつれ、足が止まってしまうのも、攻撃面でバリエーションが乏しい一因である。
 
 また控え組は十分すぎるほどの練習を積み、試合への渇望からモチベーションも十分だ。連日の練習で連係もばっちり。しかし彼らに出番はあまり与えられなかった。この控え組の意地が今季一番の出来とされる12節の湘南戦前半で存分に発揮された。
 
 回復中心のメニューにならざるを得なかったのはレギュラー組の多くが30代であること。広島戦で30歳以上のスタメンは5人。よりコンディションに気を遣わなくてはならなかった。加えて中村GMの言葉を借りれば、「勝つことにフォーカスしすぎた」という点。計算の立つメンバーがコンディションさえ整えば、チームは勝つ。その点を気にするあまり、いわば自縄自縛に陥ったともいえる。
 

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