「“老貴婦人”のスタイルに合う監督か?」「ジャージ姿の愛煙家」 EL制覇のサッリにユベンティーノからは疑問の声

2019年05月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

「ナポリをリスペクトする。だが…」

自身の監督キャリアで初めてのタイトルを手にしたサッリ。伊メディアではユーベとの接触も報じられているが、果たして、どのような決断を下すのだろうか。 (C) Getty Images

 現地時間5月29日のヨーロッパリーグ(EL)決勝で、チェルシーはアーセナルに4-1と快勝し、6度目の戴冠を果たした。マウリツィオ・サッリ監督にとっては、うれしいキャリア初のタイトルだ。

 そんな大一番の前日にしたサッリの振る舞いが注目を集め続けている。

 ビッグゲームであることが理由か、はたまた進退が取りざたされていることが原因なのかは分からない。だが、試合前日のサッリは、公の場でいら立ちを露にした。練習中にダビド・ルイスとゴンサロ・イグアインが言い争い、小競り合いを起こしたのを受け、帽子を地面にたたきつけ、蹴り飛ばし、激怒したままピッチを後にしたのだ。

 チェルシーの広報は、練習がメディアに公開されていたため、セットプレー練習ができなかったことへの怒りだったと説明しているが、いずれにしても、指揮官の怒りぶりは英メディアを中心に耳目を集めた。

 それは、母国イタリアのメディアも同じ。サッリは名門ユベントスの次期監督候補と言われているだけに、なおさらだ。『Gazzetta dello Sport』紙は29日、「サッリにはユベントスのスタイルがない」との記事を公開。"老貴婦人"を率いるのにふさわしい人物か、疑問の声が上がっていると記した。

 ナポリ時代にサッリは記者会見でクラブの財力の差や試合開催時刻の細分化など、繰り返し不満を口にしていた。さらにジャージ姿を貫く愛煙家とあり、イタリア最大の名門を応援するファンからは、ユーベ・スタイルに適さないという意見があるというのだ。

 実際、「サッリはユーベにとって適した人物か」との同紙のアンケートでは、75パーセント以上のサポーターが「ノー」と回答している。
 
 それでも、サッリがイタリアを代表する指揮官となったことは確かだ。独特のスタイルの確立に加え、EL優勝でタイトルも手に入れた。UEFAによれば、旧UEFAカップ時代を含め、イタリア人監督の戴冠は、パルマをUEFAカップ制覇に導いた1999年のアルベルト・マレザーニ以来、20年ぶりとなる。

 また、イングランドのクラブで欧州カップ戦の頂点に立ったのは、1998年のカップウィナーズカップで優勝したジャンルカ・ヴィアッリ、2012年のチャンピオンズ・リーグを制したロベルト・ディ・マッテオに続き、イタリア人で3人目。ちなみに、率いたクラブがすべてチェルシーというのは興味深い。

 ただ、サッリがナポリを率いてユーベとタイトルを競っていたのは、わずか1年前のことだ。ナポリのサポーターからは、愛するサッリに"天敵"ユーベを率いないように懇願する声も上がっている。

 だが、イタリア衛星放送『Sport Mediaset』によると、60歳指揮官は試合後に「ナポリのことを愛しているし、昨年は直接別のイタリア・クラブに行かないように国外クラブを選んだ」と、ナポリ・ファンに配慮しつつ、進退を決める理由にはならないと述べている。

「私はずっと、ナポリのサポーターをリスペクトする。だが、プロであれば、異なる道に向かうこともあり得るんだ」

 進退について、チェルシーと話す必要があると答えてもいるサッリは、今後、どのような決断を下すのか。そして、ユーベに向かうことになった場合、サポーターはどのように迎え入れるのだろうか。イタリアを代表する智将の動向が注目される。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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