【インタビュー】大宮の『救世主』ムルジャが語る残留への決意

2014年10月23日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「環境を考えれば残留争いをする水準のチームではない」

28節のFC東京戦でスタメン復帰。さらなるゴール量産でチームを残留に導けるか。(C) SOCCER DIGEST

 7月にセルビアの名門レッドスターから加入して以来、ハイペースでゴールを量産してきた。しかし、本人は何よりもチームが最優先だと主張する。残留争いの『救世主』としての責任を一身に感じながら、ムルジャは大宮の勝利のために、すべてを捧げる覚悟だ。
 
――まず、9月に負傷した左ハムストリングの現況を教えてください。
「今日は負傷後、初めてグラウンドで本格的に身体を動かしました(注/インタビューは10月9日に実施)。100パーセントとはいかないまでも、天皇杯のG大阪戦には出場できるでしょう。その週末にあるリーグ戦には確実に間に合うと思います(※すでに28節のFC東京戦で戦列に復帰。29節の横浜戦では、1ゴールを挙げた)」
 
――離脱した後の2試合(清水戦、甲府戦)をどのように見ましたか?
「コンディションが上がってきていたので、離脱は悔しかったです。結果的に(違和感のあった徳島戦の次の)川崎戦に出なければ離脱しなくて済んだのかな、と。チームの力になりたい気持ちが強くて強行出場しましたが、逆に迷惑をかけたと思います。ただ、自分がいない状態でも、残留を争っている2チームを相手に勝点6を得られたことは大きかった」
                                                                                                                
――大宮には、途中加入選手が"救世主"となってきた歴史があります。
「それは知りませんでした。毎年のようにJ1の残留争いをしているのも、加入してから知ったくらいです。しっかりオーガナイズされていて、非常にでき上がったクラブなので、その事実は意外でしたね。大宮のクラブ施設や環境を考えれば、残留争いをする水準のチームではないと思っています」
 
――加入後の11試合で7得点。「セルビア・リーグ得点王」の肩書きに相応しい活躍を見せていますね。
「シーズン途中で新しいチームに入るのは、常に難しいチャレンジです。キャンプを経ていませんので、コンディションを上げるのに時間がかかってしまいました。その厳しい状況下での、11試合・7得点は、満足していい数字だと思いますが、もっと良いプレーを見せられるとも感じています。ただ、現時点での目標は残留であって、選手個々の活躍はあまり重要ではありません」
 
――ズラタン選手との2トップは、対戦相手からすれば脅威だと思います。
「それは対戦相手に聞いてください(笑)。ただ、ズラタン選手はコンディションがいいようですし、自分も上がっています。ふたりともが得点をコンスタントに取れているのは嬉しいことで、これからもコンディションをキープして、もっとふたりで得点をたくさん奪いたいですね」
 
――合流から3か月。他の選手との連係はどうでしょう?
「自分のプレーを生かす形をみんなが気にかけてくれて、新しい環境やチームに馴染むという意味で他の選手たちがすごく大きな助けになりました。まだ3か月なので、周囲との連係はもっと良くなるでしょう。サッカーをやるうえで、相互の協力は非常に重要なものだと考えていて、常に意識しながらやっています」
 
――理想的だったと思うプレーは?
「(加入してすぐの)15節広島戦の3点目のゴール。攻撃がディフェンスから始まって、ゴールに至るまでの過程が一番良かった。あの試合の時点で連係はそれほど深まっていなかったのですが、非常にいい形でした。途中加入選手にとって、初戦は特に重要ですし、自分の記憶に残るプレーです」

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