女子W杯に挑む日本人はなでしこJだけじゃない! タイ代表・侍トレーナーの挑戦

2019年05月27日 佐々木裕介

「タイ人選手の素材感は半端ない」

2012年からタイで活動する白木氏。現在はタイサッカー協会に所属するトレーナーだ。写真:白木氏提供

 来月に迫った女子ワールドカップ・フランス大会。なでしこジャパンのみならず、この大舞台へ決意を持って挑もうとしている日本人がいる。
 
 名前は白木庸平、職業はメディカルトレーナー。タイサッカー協会に籍を置く彼は今回、タイ女子代表チームへの帯同を任された。
 
 幼少期は野球少年、また柔道整復師と鍼灸師の肩書を持つ彼が何故タイのサッカー界へ身を投じたのか。フランスへ向けて出発する前に、話を聞かせてもらった。
 
――◆――◆――
 
――タイへ渡った経緯を聞かせてください。
「タイでプレーしていた同郷の友人からの誘いに喰いついたのがきっかけです。当時、彼の所属チーム(チョンブリーFC/タイ1部)がトレーナーを探していて。2012年からの5シーズン、お世話になりました」
 
――そこでの仕事が評価されて、いまのポジションがある訳ですね。
「チョンブリーFC時代からお世話になっているヴィタヤさん(ヴィタヤ・ラオハクル/日本での選手経験や指導歴を持つタイサッカー界レジェンドのひとり)がタイサッカー協会の仕事もされていて、引っ張っていただいた流れです。感謝しかないですよね」
 
――タイサッカー協会所属のトレーナーは、現状何人いらっしゃるのですか?
「私を含めて5人です。私以外はタイ人、全員で男女含む全カテゴリーを対応しています」
 
――仕事をされる上で常に気にされていらっしゃることって何でしょうか?
「タイ人よりも給料をいただいている"外国人"として雇われているので、彼らと同じクオリティでは駄目だという気持ちを常に持ちながら、気付き感じたことは彼らに敢えて伝えるように心掛けてはいます」
 
――チャナティップ選手(札幌)の活躍もあって、日本でもタイサッカーに対する認知度が高まっている昨今。タイサッカー界で働かれている立場から、彼らには何を感じられていらっしゃいますか?
「伸びしろですねぇ(笑)。タイ人選手の素材感は半端ないですよ」
 
――なるほど。では逆に未だに慣れないことってなんでしょうか?
「物事が予定通りに進まないことですかね。代表チームでも練習やミーティングは時間通りに始まらない、スケジュールも間際で確定や変更するのが普通ですから。欧州出身の外国人スタッフなんかも常にイライラしていると思いますよ(苦笑)」
 
――今年初めには円形脱毛症になられたとか。何かと気苦労も多いのでしょうね。
「年始からキャンプが続いたり、怪我人が多く出たりで、もう大変な時期だったんです。でも、どれもこれもすべてが良い経験ですよね。10円ハゲも含めて(恥笑)」
 

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