【総体】斬新なスタイルで全国一番乗り! 2019年版の神村学園は両サイドバックが面白い!

2019年05月26日 平野貴也

狙いは、クロスではなくフィニッシュ

今季の神村学園のハイライトとなりそうなのがこの両SB。右の中島(7番)と左の下川床(13番)だ。写真:平野貴也

[高校総体・鹿児島決勝]神村学園 3-0 出水中央/5月25日

 鹿児島の技巧派軍団が、インターハイ全国大会一番乗りを果たした。
 
 高校総体(インターハイ)の鹿児島県大会は5月25日に決勝戦を行ない、神村学園が3-0で出水中央を破って3連覇を飾った。「4-1-4-1システム」は伝統の布陣。中盤の底で舵取りをしながら、サイドアタック、コンビネーションの中央突破を繰り出す。そのなかでも近年、両サイドバックの使い方が非常に面白い。
 
 ボールを保持して攻撃に移ると、右も左もセンターバックの前に入り込み、完全にボランチと化す。今年も右の中島吏九(3年)が相手を引き寄せながらフリーの味方に長短のパスを配り、左の下川床勇斗(2年)は隙あらば、中盤からドリブルで持ち上がって縦パスを狙うなど、攻撃のギアを上げる役割を果たしている。
 
 県大会では、中心選手の軸丸広大(3年)がアンカーを務め、両サイドバックとともに3ボランチを形作って試合の主導権を握った。決勝戦で相手の出水中央もトリプルボランチを組み、中盤の中央で自由を与えないように対策を練ってきたが、後半にはしっかり攻略している。
 
 前半と後半の立ち上がりは、ともにフィジカル能力に勝る出水中央の猛攻を受け、失点をしても不思議はなかったが、GK吉山太陽(2年)の奮闘もあって無失点に抑える。前半26分に神村学園のエースナンバー14番を背負うMF濱屋悠哉(3年)がみずから得たPKを決めて先制すると、緊張による動きの硬さが消え、攻撃にリズムが生まれた。後半7分、2シャドーの一角を務めるMF永吉飛翔(2年)が縦のワンツーから豪快にミドルシュートを叩き込んで追加点を奪い、試合終盤には濱屋が右サイドでドリブル突破からクロスを送り、途中出場のMF大迫魁士(3年)がダメ押しの3点目を奪って勝利を決定づけた。
 
 先制のPKにつながる縦パスを供給した主将の軸丸と、先制点を決めて3点目をアシストした濱屋がチームのキーマンであることは、間違いない。ただ、このチームを見るのであれば、両サイドバックの動きにも注目してほしい。ボランチの位置に入って、中央で攻撃にまで関わって行くのだ。中島は「高い位置で攻撃に関わりたい。サイドMFがボールを持ったときには(内側で)同じ高さに入りたい。サイドバックがゲームを作らないと、チャンスにならないと思ってやっている」と、トップ下のような役割まで狙う姿勢を示し、左の下川床は「自分はドリブルが得意。ワイド(サイドMF)、シャドーストライカーと協力して、ドリブルで切り込んでシュートまで狙いたい」と、さらに意欲的だった。狙いはクロスではなく、フィニッシュなのだ。

次ページ「相手を見てサッカーができれば、全国でも勝負できる」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事