FIFAが2022年カタールW杯は「32」枠で開催と発表! 「48か国など最初から無理」と会長に痛烈批判も

2019年05月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

インファンティーノ会長の願いは成就せず

マレーシアのAFC総会で演説するインファンティーノ会長。(C) Getty Images

 現地時間5月22日、国際サッカー連盟(FIFA)は、2022年カタール・ワールドカップで48チームに拡大して開催する案を取りやめ、現行の32チームで行なうことを発表した。

 事の発端は、18年11月に行なわれたアジア・サッカー連盟(AFC)の年次総会で、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が「可能であれば、カタール大会から出場枠を拡大したい」と発言したことだ。

 すでに、このカタール大会は、「夏に大会を行なうのは暑すぎて危険すぎる」ということで開催時期を11~12月に後ろ倒しにすることが決定。これは概ね納得が得られたものの、インファンティーノ会長の開催国拡大案には、反発の声が多かった。会場や練習場所の確保などの問題が発生し、「もはや1か国で開催するのは難しい」という見通しだった。

 そのうえ、カタールはサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など中東6か国と国交を断絶中だ。出場枠を拡大した場合は、共催など周辺諸国との連係が不可欠であり、ただでさえ不安定な情勢をさらに混乱させるのではないかと危惧されていたのだ。

 それでも「48」枠にこだったインファンティーノ会長は、3月に行なわれたFIFAの総会、そして4月にマレーシアで行なわれたAFC総会で、「出場国拡大への準備が進んでいる」と自信を見せ、6月には正式発表する見通しとまで報じられていた。
 

 だが、会長の要望は実現しないことが明らかになった。英公共放送『BBC』のダン・ローアン記者は、FIFAが従来のレギュレーションのままカタール大会を開催するに至った背景を、こう推測している。

「おそらく、カタールが国交を断絶しているため、周辺諸国の協力が得られなかったのが最終的に断念した理由だろう。サウジアラビアはきっぱりと断ったと現地でも報じられている。協力を申し出たバーレーンとオマーンは"開催国"としてFIFAが提示しているの条件を満たしていなかった。

 そもそも、インファンティーノ会長の目的は"ノーベル平和賞"だ。カタールと周辺諸国の緊迫した状況を、フットボールを介して緩和することで、世界平和に貢献したという世論の評価を得ようとしていた。今回のプランが頓挫し、ホスト国のカタールはホッとしているのが本音だろう。どだい最初から無理な話だった」

 英国ではこの件に関して当初から批判の声が多かったため、今回のFIFAの決定を支持する声が大きいようだ。

 カタールW杯での48枠の可能性はなくなったが、アメリカ、カナダ、メキシコの共同開催で行われる2026年大会は、すでに48か国での実施が決定している。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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