【鹿島】本来の姿を取り戻した伊藤翔。“無得点”の日々をどんな想いで過ごしていたのか?

2019年05月23日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「一瞬のスピードが遅いなっていうのは自分の中にあった」

山東魯能戦で途中出場から勝利をもたらす2ゴール。伊藤がようやく本来の姿を取り戻した。写真:滝川敏之

[ACL第6節]鹿島2-1山東魯能/5月22日/カシマ
 
 グループステージ突破がかかる重要な一戦で、大仕事をやってのけた。ベンチスタートとなったホームでの山東魯能戦、1点ビハインドのチームを救うべく、63分に途中出場した伊藤翔は、わずか7分間で2得点を叩き出し、逆転勝利の立役者となった。
 
 本人にとっては久々のゴールだった。
 
 開幕直後は、J1とACL合わせ、"6戦7発"の時期もあった。だが、その後はゴールから遠ざかる。J1では4節の札幌戦での2得点を最後にノーゴールが続き、ACLでは2節の敵地での山東魯能戦で2得点して以降、結果を出せずにいた。
 
 ストライカーとして何よりも大事なゴールを得られない日々を、伊藤はどう過ごしていたのか。
 
「自分のコンディションと足の状態が戻れば、決められるなと思っていました。やっぱり、試合をやっているなかで、一瞬のスピードが遅いなっていうのは自分の中にあった。
 
 でも、コンディション的に戻ってきた今は、ゴールを決められるな、と。だから、とりあえず、足と身体の状態を戻さなければと思っていました」
 
 不調の原因は、万全の状態ではなかったことにあった。J1では開幕からスタメンが続いていたが、直近の12節・松本戦は83分に途中出場、その前の神戸戦はベンチ入りも出場なしと、少しでも"休息"が取れたこともポジティブに影響したのだろう。
 
 もっとも、得点できなかった間でも、例えば3-0で完勝した10節の清水戦では、2つのゴールで間接的に関与し、ひとつはアシストを記録。自身のゴールはなかったが、"その場"にいたことは"嗅覚"が鈍っていない証拠だろう。
 
「まあ、ボールが来る時もあるし、来ない時もあるけど、その場に何回も繰り返し行く、っていうのは、FWとしては大事なことなので。本当に、繰り返して、あとは自分次第。その自分次第のところで、上手く回復できてきたところじゃないですかね」
 
 まだ完全とは言えないが、「ある程度、自分が求める感覚だったり、スピードは戻ってきた」。特大の活躍を見せた男は、しかし浮かれることなく、「なんとかグループステージを突破できて、ホッとはしていますけど、まだまだ通過点」と先を見据えた。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

【ACL PHOTO】鹿島2-1山東魯能|途中出場の伊藤翔が電光石火の2ゴール!鹿島が逆転勝利でグループリーグ自力突破を決める
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