12戦無敗で独走態勢に入りつつあるFC東京、その揺るぎなき強さの理由は?

2019年05月19日 後藤勝

コンパクトなブロックで“引き分け上等”の態度をとりつづけるFC東京

札幌戦で勝利を挙げ、12戦無敗としたFC東京。とりわけ守備では盤石の堅さを誇っている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ12節]FC東京2-0札幌/5月18日/味スタ
 
 FC東京が北海道コンサドーレ札幌を2-0で下し、首位を堅持した。これでルヴァンカップを合わせて公式戦は7試合連続完封。リーグ戦12試合ではわずか5失点という守備力が突出している。この堅さが12戦無敗で、独走態勢を築きつつある現状を支えていることに、もはや疑いの余地はない。
 
 札幌戦の23分、絶妙なタイミングでのウラ抜けを見せながらシュートをGKク・ソンユンに当ててしまった永井謙佑の場面のように、攻撃には"水物"の側面がある。その点、計算が立つ守備を極めれば、ゲームをコントロールしやすくなる。
 
 長谷川健太監督に失点が少ない要因を訊ねると「全体がコンパクトに戦っているのが一番だと思っています」という答えが返ってきた。
 
 同様のキーワードは中央のエリアを固く締めるうえで不可欠な存在となっている両ボランチの口からも聞かれた。髙萩洋次郎が「高い位置でも低い位置でもコンパクトにブロックを作るというところはできていた」と言えば、橋本拳人も「セカンドボールを拾えるポジショニングからボールを奪いに行けていた。コンパクトにやれたことが今日は一番良かったかなと思います」と、言葉を揃えた。
 
 今シーズンの東京は落ち着いたサッカーをしている。相手にボールを持たせ、焦らず、じっくりと試合を進める。極端な言い方をすれば、まるで「0-0のまま終わってもかまわない」とでも言うかのようだ。面白いことに、そうして"引き分け上等"の態度をとりつづけていると、相手に隙が生まれ、あるいは相手がミスをして、東京の側にチャンスが生まれる。
 
 札幌戦もそうだった。0-0で折り返し、後半開始から仕掛けてきた札幌の猛攻をやりすごすと、相手のミスに乗じてボールを奪い、小川諒也と久保建英がゴールを決めた。
 
 ボール奪取能力の高いボランチ、シュートストップ能力の高い林彰洋はもちろん、森重真人とチャン・ヒョンスという二枚の壁を倒さないかぎり、相手チームがゴールを奪うことは難しい。勝たなくては――と思えば、焦らざるをえない。
 

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