昌平高出身の松本泰志が過ごす充実のプロ3年目。東京五輪を目指す黒子の心意気

2019年05月17日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

指揮官と先輩の教えが今季の活躍を支える要因に

今季は広島でスタメンに定着。青山らが負傷離脱しているなかで、豊富な運動量と正確なパスでチームを支えている。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 松本泰志、20歳。昌平高ではゴールやアシストで魅せるアタッカーとして名を馳せ、目覚ましい活躍を見せた。だが、プロ入り後は高校時代の面影を見せず、ボランチとして新境地を開いている。本人も〝黒子役〞に大きなやりがいを感じており、貪欲に学ぶ姿勢を崩さない。広島で出会った日本を代表する名ボランチ、その経験を発揮する場を与えてくれた森保一監督や城福浩監督。経験、実績ともに十分の先輩たちから何を学び、どう変化を遂げたのか。これまでの歩みと来夏に迫る東京五輪への想いは――。知られざる高校時代のエピソードとともに、世代を代表する司令塔の決意をお届けする。

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――今季序盤を振り返って
試合に出場しないと分からない事象があるなかで、公式戦を通じて見出せた収穫や課があります。開幕からJ1のゲームに出て、自分の中で色んな要素が成長しているなと。なので、今までより充実したシーズンを過ごせていますね。

――成長したと実感しているのはどの部分でしょうか?
勝利への欲と運動量ですね。練習試合でも勝ちにこだわりますが、公式戦とは違うんです。より勝利を目指し、チームのために走らないといけない。それが一番今までと違う。

――昨年も公式戦を数試合経験しましたが、それとはまた違いますか?
ルヴァンカップはメンバーを落とすチームも多い。だけど、リーグ戦はフルメンバーと戦える。相手には経験豊富な選手もいるので、対戦相手からも学ぶべき点が多いですね。

――元々今季は、開幕前からポジションを掴める予感があった?
キャンプの前にアオさん(青山敏弘)が怪我で代表から帰ってきました。このチャンスは生かさないといけない、逃すわけにはいかない。そういう想いがあって、キャンプでは結果にこだわっていましたね。

――ただ、青山選手が復帰すれば、ポジション争いが激しくなります。
結果を残し続ければ、監督も選手を代えられない。まずはチームの結果、次に自分のパフォーマンスを重視してやっていきたいですね。

――同じボランチの先輩たちから学ぶ点も多かったのでは?
昨季限りで引退したカズさん(森﨑和幸)から学ぶ点が本当に多かった。色んな話を聞きに行きましたし。特にゲームコントロールについては教えてもらいましたね。様々なことを考えながらサッカーをやっているんだなと。ゆくゆくは自分もカズさんみたいな選手になりたいと今は感じています。

――守備も劇的に変わりました。
1、2年目は守備面を死ぬほど言われました(笑)。プロ1年目の時は当時チームの監督だった森保さん(編集部・注/現日本代表、U-22代表監督)には球際の攻防、城福さんにはインテンシティーの高さを口酸っぱく指摘されましたね。その教えがあったからこそ、色んな面で成長ができました。

――となると、守備の楽しさも分かってきたのでは?
(練習試合で最終ラインも)経験したので、この1、2年で守りの楽しさが分かってきましたね。

――高校時代は攻撃的なポジションで目立つプレーが多く、昔だと考えられない言葉ですよね。今は黒子役ですが、もっと攻撃に絡んでゴールを狙いたい想いに駆られませんか?
目立たないで、チームに貢献する。その渋さや格好良さをカズさんから見て学んで、そっちも良いなと思うようになりましたね。得点を取って、脚光を浴びたい時もありますけど、今は黒子役で目立ちたいんです。

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