【福岡】U-20W杯メンバーに彼の名前はなかったが… 石原広教が明かした悔しさと忠誠と感謝

2019年05月14日 中倉一志

「U-20日本代表に選ばれた選手には本当に頑張ってほしい」

福岡の右サイドバックとしてアグレッシブなパフォーマンスを見せている石原。写真:滝川敏之

 J2リーグ13節・東京ヴェルディ戦。出場停止処分から明けて2試合振りに右サイドバックとして先発した石原広教は、90分間にわたって高いポジションを取り、サイドチェンジのボールを何度も受けて、持ち味である運動量を活かしてサイドを駆け上がった。結果は力及ばずに2-3で敗戦。だが、ミックスゾーンに現われた石原は下を向いてはいなかった。むしろ、何かを見据えるようなまっすぐな視線はいつもより鋭さを増しているようにさえ感じられた。

 
 東京V戦からさかのぼること4日。ポーランドで開催されるU-20ワールドカップに参加するメンバーの中に石原の名前はなかった。出場機会を求めて移籍してきた福岡で、12試合を消化して先発出場は4試合。納得のいかないプレーが続くなか、選出されるのは難しいのではないかとも思っていたと話す。しかし、U-16日本代表に選出されたのを皮切りに、各年代別代表として活躍してきた石原にとって悔しい結果であったことは間違いない。
 
 だが石原は前を向く。
「U-20日本代表に選ばれた選手には本当に頑張ってほしい。でも、いま自分が置かれている場所はここ。アビスパのためにプレーするという気持ちが強い。悔しい気持ちはあるが、落ち込んではいないし、前しか見ていない。外れたからどうこうというのではなく、チームのために残ってやるべきことはたくさんある」
 
 そんな気持ちを東京V戦にぶつけた。すべてを完璧にやれたわけではない。ミスもあった。だが、ファビオ監督の戦術のもとで自分の力を100パーセント出す、そんな気持ちが溢れていた。
 
「代表では自分の力を発揮することが中心。でもチームでプレーする時は、チームの勝利はもちろん、自分を成長させるという意味合いも大きい。いま自分よりも上の立場にいる選手たちを追い越せばオリンピックもある。オリンピックに選ばれなかったとしてもA代表がある。どんな時も、次の目標はどんどん出てくる。選ばれなかったことは切り替えて、本当に前を向くしかない」
 

次ページシーズン当初はファビオ監督の戦術に戸惑いもあったが…

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