「神」の隣にいた10年――リーガ最多得点記録に迫るメッシ【バルセロナ番記者】

2014年10月18日 ルイス・マルティン

ボールに触るたびに何かを生み出している。

デビューから10年、メッシはまたひとつ金字塔を打ち立てようとしている。リーガの最多得点記録まであと3ゴールだ。 (C) Getty Images

 いまからちょうど10年前だ。少年のような風貌の小さな選手が、モンジュイックの丘に降り立った。エスパニョールとのダービーマッチ。フットボールが変わったのは、その時だ。
 
 リオネル・メッシのデビューから10年が経った。この10年間で、レオはいくつもの記録を打ち立ててきた。全てのタイトルを勝ち取り、おそらくは今後も記録を破りつづけるだろう。いまは、リーガ・エスパニョーラの最多得点記録に王手をかけている。あと4ゴールを奪えば、通算252ゴールで記録更新だ。
 
 ウェンブリー・スタジアムで果たした1992年のチャンピオンズ・カップ(現チャンピオンズ・リーグ)優勝は、いまや遠い日の白黒写真のような思い出だ。メッシとともに、バルサはチャンピオンズ・リーグを三度制覇している。ロナウジーニョはバルサに微笑みを取り戻してくれた。メッシは10年間、ボールに触るたびに何かを生み出している。
 
 メッシはフットボール界全体に影響を及ぼしてきた。チームメイトたち――メッシという天才と同じレベルでプレーするのは難しい。監督たち――天才の指導ほど難しいものはない。対戦相手――メッシを止めるのはほぼ不可能だ。そして我々記者たちにも――。
 メッシは記者人生をも支配する主役になった。彼は我々を試すのだ。さあ、言葉でどう表現してくれるんだと言わんばかりの、それこそ筆舌に尽くしがたいスーパープレーを連発するのだ。
 
 私は、友人の子供たちによくこんな質問をされる。「メッシを知ってるの?」と。そのたびに私は考えるのだ。
 
「もう10年間、毎週メッシのプレーを見続けている。6、7回は単独でインタビューもした。空港や、カンプ・ノウや、練習場で会えばいたずらっ子のように微笑んでウインクをしてこう言ってくる。『元気にしてる?』と」
 
 これまでにいろんな選手を見てきたし、これからもいろんな選手と接するだろう。しかし、メッシ以上の選手には出会えないだろう。私にとってこの10年間は、いわばメッシという「神」の隣にいた10年間だ。
 
【記者】
Luis MARTIN|El Pais
ルイス・マルティン/エル・パイス
スペインの一般紙『エル・パイス』のバルセロナ番とスペイン代表番を務めるエース記者。バルサの御用新聞とも言えるスポーツ紙『スポルト』の出身で、シャビ、V・バルデス、ピケらと親交が厚く、グアルディオラ(現バイエルン監督)は20年来の親友だ。
【翻訳】
豊福晋
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