【なでしこ】90名以上のリストから絞られた23人の“精鋭部隊”。高倉監督が語る「選考理由」

2019年05月11日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

リーグ得点王・田中美南の招集外に高倉監督のスタンスが表われている

高倉監督は常に選手の発掘を進めてきた。最終的にメンバーに残った23名は精鋭だ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 フランス・女子ワールドカップに臨む23名が発表された。
 
 2016年4月から日本女子代表を率いてきた高倉麻子監督は、常に選手の発掘を続けてきた。熊谷紗希や鮫島彩といったベースメンバーこそ早くして決まったものの、時にはなでしこリーグ2部の試合に視察に訪れ、キラリと光る才能を見つければ、すぐに代表チームに招集し、その伸びしろを見極めた。
 
「私が就任して約3年ほどになりますけど、すべてはこのワールドカップのために準備をしてきたつもりです。総勢63名。チャレンジキャンプを入れると90名ほどの選手を呼び、様々な選手やチームの可能性を探ってきた」
 
 90名以上にも上る熾烈なサバイバルレースを勝ち残ったのが、フランス・女子ワールドカップメンバーの23名である。
 
 世代別代表を最後に長らく代表に選ばれてこなかった選手でも、今回のメンバーに入っているのは、そうした作業の成果と言える。
 
 例えば、FWの小林里歌子は2014年のU-17ワールドカップで主力として活躍した後に、右膝の怪我を繰り返した。それでも2018年に実践復帰を果たして今年3月のアメリカ遠征で初招集を受けると、デビュー2戦目のブラジル戦でゴールを決めてアピールした。
 
 2014年にU-17ワールドカップで、2016年にはU-20ワールドカップで大会MVPに輝いた杉田妃和も、昨夏のアメリカ遠征から徐々に台頭し、フランス行きを決めた。
 
 昨年のU-20女子ワールドカップで世界制覇を果たした"元ヤングなでしこ"のメンバーも、高倉監督は積極的に招集。宮川麻都、南萌華、植木理子、遠藤純という4選手が最終的にメンバー入りを果たしている。

 一方、3年連続でなでしこリーグ得点王の田中美南はコンスタントに起用されながらも、なかなかフィットし切れず。最後に招集を見送られた。この選考にある意味、高倉監督のギリギリまで選手を見極めるスタンスが表われているだろう。
 
 高倉監督が「今回の23人を最終的に選んだ大きな理由のひとつ」として挙げるのが、反発力だ。
 
「実力が足りなくても積極的に使って試したり、練習を重ねたりしてきたなかで、必ず壁にぶつかり、うまくいかないことが起きた。それでも、その時に自ら考え工夫をし、努力をし、次に会った時にしっかり修正してきた選手が残ってきた。その跳ね返りの強さというところはいつも注目していました」
 
 今大会、高倉監督が招集したのは、様々な困難や壁を乗り越えて逞しさを増してきた精鋭部隊である。ワールドカップ本大会でも持ち前の反発力を発揮できるのか。選ばれし23名の奮闘に期待したい。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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