【浦和】後半ATの致命的ミスはなぜ起きたのか? ホームで勝てないレッズの心理的敗因

2019年05月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

「0-0で試合が経過するなかで『ちょっと嫌だな』と思ったのは、こっちだった」

タイムアップ後に判定に異議を唱える浦和の選手たち。浦和は今季、ホームで勝てない試合が続く。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ10節]浦和0-1磐田/5月3日(金・祝)/埼玉
 
 決勝点が自分たちのミスから生まれたのは厳然たる事実だ。後半アディショナルタイムに青木拓矢が出したバックパスがそのまま相手FWロドリゲスに渡るという致命的なミスだった。一方で、今季ここまでの戦いぶりを振り返ると、ホームでなかなか勝点を奪えていないことが浮き彫りになっている。

 
 10節を終えた時点で浦和は5勝2分3敗、8得点・8失点の勝点17という成績だが、これをホームとアウェーで分けてみると、ホームでは1勝1分3敗で2得点・7失点、アウェーでは4勝1分で6得点・1失点だ。同じ成績なら、この逆の数字になるくらいが普通であり、クラブがリーグ戦とアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の同時制覇という高い目標を掲げるのであれば、ホームゲームの成績が伸びない限り実現は難しいだろう。
 
 この磐田戦は、浦和にも十分に得点を奪うチャンスがあったが、磐田に決定機を作られたのも事実だ。勝ちも引き分けも敗戦もあり得るような試合に感じられたが、右ストッパーでスタメン出場していた鈴木大輔もまた「同じ感覚でした。どっちに転んでもおかしくないと」と感じながらプレーしていたのだという。そこで、顔を出したのがホームでの0-0をどう捉えて時間が流れるかということだったのだと話す。
 
「0-0で試合が経過するなかで『ちょっと嫌だな』と思ったのは、こっちだった。ホームというのもあるし、勝ち切らなければいけないと。そういう心理戦はあったと思う。向こうは今までの流れ(リーグ3連敗)というなかで、埼スタに来て浦和とのアウェーゲームで0-0なら悪くないし、大丈夫と。心理的に崩れるのはこちらで、それでポジションが崩れたのはこっちだったと言えるのかもしれない」
 
 鈴木が話した通り、試合終盤の85分を過ぎた頃から、浦和側にゴールを奪いにいく圧力が強まった感がある。その中で、左サイドから山中亮輔が一気に抜け出して、瞬間的に相手GKカミンスキーも含めて4対2というビッグチャンスも迎えた。それをモノにできなかったのは痛かったが、その時間帯について鈴木は「ホームだから、0-0よりも勝ちにいかなきゃいけないなかで、少し前掛かりになったかなと。自分も含めて」と話す。それが青木のプレーが発生した場面に対して「バックパスに対しても、みんなが任せ気味になったので、チームとしてのミスになった面もある」という遠因になった感覚があると話した。
 
 現在は負傷離脱中だが、主将の柏木陽介もまた「ホームで攻撃に行きたくなりすぎてしまうところが、勝ててない試合の現実だと思う」と話したことがある。ホームで勝利したヴィッセル神戸戦のように、過程が相手のミスであれ早いタイミングで先制できれば武器である守備の安定感が勝利につながる。一方で、こうした形の接戦をいかにしてホームでものにできるかというのが、大きな課題として浮かび上がったのがこの磐田戦だった。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
 

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