【鹿島】疑惑の判定に助けられるもプラン通りに弱点攻略! ただし三竿健斗は「参考にならない」と快勝劇を一刀両断

2019年05月04日 一色伸裕

「勝って当然だと思う内容。これを毎試合やらないといけない」

攻守両面でチームの舵をとった三竿。解消の立役者となった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ10節]鹿島3-0清水/5月3日/カシマ
 
 試合序盤の土居のゴールで先制した鹿島。課題とする立ち上がりの悪さを克服し、後半には「新10番」安部に待望の今季初得点が生まれ、安西も2試合連続得点を記録した。結果だけを見れば及第点だが、手放しに喜んではいられない。


「全体を通していい守備ができていたが、相手も調子が悪い中でのゲーム。今日は参考にならない」
 こう言い切ったのは三竿。この日の相手、清水は9節終了時で2勝2分け5敗の14位と低迷中で、失点19はG大阪と並びリーグワーストタイ。守備のてこ入れが急務のチームに快勝したところで、鹿島復調と言うことはできないのが本音だ。
 
 10分の土居の得点で先制した鹿島だが、開始直後の1分には速攻を受け、町田がファウルで北川の突破を阻止。このFKを中村に"決められている"。GKクォン・スンテのセービングはゴールラインを越えてからのものに見えたが、判定はノーゴール。鹿島関係者も「立場が逆なら抗議している」という運もあり、立ち上がりの不安を垣間見せながらも無失点に抑えることができた。
 
 仕切り直した鹿島は、最終ラインを押し上げて前線からハイプレス。前半の平均ポジションでは、犬飼と町田以外のフィールド選手全員が45分間の多くの時間帯を清水陣内でプレーしたというデータが出ており、61パーセントのボール支配率を握りながら攻勢に出たことが示されていた。
 
「前から(プレスに)いって(相手が苦し紛れに)蹴ったところを競って、しっかりとセカンドボールを回収するプランだった」(三竿)
 今季19失点の清水を分析し、ハイプレスに弱いという結論を導き出した大岩監督は、前線と最終ラインをコンパクトに保ち、敵陣でのボール奪取を徹底指示。その責務を担ったのが、三竿でありレオ・シルバだった。
 
 先制しながらも守勢に回りすぎ、1-2で逆転負けした前節の横浜戦(4月28日)。その二の舞にならないように、敵陣でのプレーを心がけた。スペースを埋めて、球際で強く当たり、ボールを奪取。中盤を完全に掌握したが……。三竿が「参考にならない」と繰り返し口にするほど、清水の出来があまりにも悪すぎた試合となった。
 
 安部が今季初得点を挙げ、レアンドロも両チーム最多31回のスプリント(時速24キロ以上のダッシュ)を記録するなどキレが戻ってきた。今後への好材料は得たが、選手たちは現実を直視。三竿は「勝って当然だと思う内容。これを毎試合やらないといけない。過信せずに勝っていきたい」と実り少なき勝利に浮かれることなく気持ちを切り替え、8日のアジア・チャンピオンズリーグ、敵地でのジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)戦に臨む。
 
取材・文●一色伸裕(産経新聞社サンケイスポーツ)
 

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