4連続ドローと足踏みが続く柏…「負けない」から「勝ち」に転じる最重要ポイントは?

2019年05月02日 鈴木潤

以前は前線にロングボールを入れるだけの単調な攻撃に終始していたが…

江坂(10番)の復帰で前線のタレントに頼りきった攻撃に変化が現われ始めている。写真:田中研治

 J2リーグ11節の横浜FC戦、柏レイソルは攻め込みながらも相手の守備を崩しきれず、0-0の引き分けに終わった。これで4試合連続のドローと足踏みが続くばかりか、9節の栃木SC戦から3試合連続のスコアレスドローである。FC琉球戦の3分に得点を挙げてから、実に357分間無得点と深刻な得点力不足に陥っている。
 
 この数試合、決定的なシュートがポストやバーに阻まれるなど、ツキにも見放された部分はある。また、ツエーゲン金沢戦では相手の守備を完全に崩しながらもGK白井裕人の再三に渡るファインセーブによって、絶好機を阻止された。そんな状況を踏まえ、ネルシーニョ監督は「チャンスを作れていないのなら問題だが、チームとしてチャンスは作れている」とネガティブな見方をせず、むしろチャンスを作れていることをポジティブに捉えている。
 
 以前は攻撃に工夫がなく、前線で待ち構えるクリスティアーノとオルンガにロングボールを入れるだけの単調な攻撃に終始する傾向はあった。ただ、開幕前の負傷で出遅れていた江坂任が金沢戦からスタメンに戻り、彼が空いたスペースに顔を出して味方からボールを引き出し、タメを作ることで、それまでには見られなかった攻撃にアクセントが加わるようになった。

 さらに横浜FC戦では、ヒシャルジソンの中央突破と大谷秀和の3列目からの飛び出しがあり、攻め上がった小池龍太のペナルティエリア内侵入や3バックの左を務める古賀太陽の攻撃参加など、チームとして攻撃に工夫を懲らそうという意識は見え始めている。

 だからといって、すぐに得点力不足が解消される保証はなく、この課題を抱える限り、柏はこの先も苦しい戦いを強いられることになる。早急に解決策を見つけなければならない。
 
 しかし一方で、守備に関してはリーグ戦11試合でわずか5失点、すでに6試合がクリーンシートと、守備の安定感には目を見張るものがある。昨季のJ1ではリーグワースト4位の54失点を喫し、明らかに守備は壊滅状態にあった。ネルシーニョ監督の建て直しにより、染谷悠太や小池ら守備陣は「監督の戦術がはっきりしているので、今は簡単に失点をしない自信はある」と守備には大きな手応えを掴んでいる。
 
 今回の4試合連続引き分けは、チャンスの数では柏が勝ってもおかしくない試合ではあったが、前がかりになった背後を突かれてカウンターのピンチもあり、そこでは中村航輔のファインセーブをはじめ、ディフェンス陣の粘り強い守備や身を呈したシュートブロックで失点を免れた。中心選手としてチームを支える鎌田次郎、染谷のベテランだけではなく、大卒ルーキーの上島拓巳やプロ3年目の若い古賀も戦力として目処が立っており、おそらくシーズンが進むにつれて柏の守備はさらに安定感を増し、大崩れはしないと見られる。このスコアレスが続く間も、勝ててはいないが、無失点のおかげで負けてもいない。
 
 だからこそ求められるのが得点となる。裏を返せば、11試合5失点という堅い守備力を持つのだから、1点さえ取れれば自ずと結果はついてくる。
 
取材・文●鈴木潤(フリージャーナリスト)
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