定まらないイニエスタの活用法…"サンペール外し"はひとつの解決策だ

2019年04月30日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

神戸と川崎、両チームの戦いぶりは対照的だった

川崎戦で最後に得点機を演出したイニエスタも、激しいプレスに苦戦。チームを勝利に導けなかった。写真:徳原隆元

[J1リーグ9節]神戸1-2川崎/4月28日/ノエビアスタジアム神戸
 
 ヴィッセル神戸は4月28日、川崎フロンターレに1-2で敗戦。リーグ4連敗を喫した。同月17日に電撃辞任したフアン・マヌエル・リージョ監督から吉田孝行監督へと代わったチームは、調子がなかなか上向かないでいる。
 
 そんな低迷する神戸にとって、中村憲剛、家長昭博ら主力を欠いた川崎に、巧みにゲームを運ばれたこの一戦は、ある意味良い教訓になったのではないか。
 
 両チームの戦いぶりは対照的だった。アンドレス・イニエスタとダビド・ビジャという絶対的なレギュラーが怪我から復帰した神戸は、立ち上がりこそテンポの良いパスワークで決定機を作り出したものの、徐々に激しいプレスでこの両雄を封じられ、攻め手を失っていった。
 
 一方で川崎は、長谷川竜也、田中碧、舞行龍ジェームズといった、若手やサブメンバーがエネルギッシュに働きまわる。主力の不在を感じさせず、チャンピオンチームに相応しい勝負強さを示したのである。
 試合後には神戸の山口蛍も「川崎は連覇をしているチームだけあって、アキさん(家長昭博)らがいないなかでも、試合の進め方がすごくうまかった」と悔しさを噛み殺した。
 
 舞行龍、谷口彰悟のビジャへのマークも見事だったが、特に中盤のイニエスタへの対応は効果的だった。「危険なところは分かっていた。なるべくCBには持たせて、イニエスタに持たれた時に厳しくいく、というのは、みんな意思統一していた」と小林悠が言うように、この司令塔がボールを持てば、田中碧を筆頭に複数人で囲い込み、ほとんどの時間で自由を奪ったのである。
 
 攻撃の始発点であるイニエスタを封じれば、神戸は機能不全に陥る。「どちらかと言えば、持たれるというよりは持たせている感覚だった。やられる感じはなかったし、自分たちが意図的に持たせている感じでゲームを進められた」という田中の言葉や、「正直失点するまでは怖くなかった。持たせているという感覚でやれていました」という小林のコメントは、まったく強がりではないだろう。
 

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