小野伸二が日本サッカー界の平成30年史を振り返る時、心に浮かぶ“二文字”とは?

2019年04月29日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「次の時代がよりよくなるために、僕らみんなが尽力すべき」

日本サッカーが大きな進化を遂げた激動の時代を振り返る時、小野の心には「感謝」の二文字が浮かんだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 平成の30年で、日本サッカーは大きな進化を遂げた。プロリーグが誕生し、ワールドカップの常連国となり、海外における日本人選手の価値も上がった。
 
 これらの事象に深く関わり、確かな存在感を放ったのが、小野伸二だ。激動の時代を振り返る時、希代のファンタジスタの心には 「感謝」の二文字が浮かんだ。
 
「こういう環境になる前に、日本サッカーを支えてくれた人たちへの感謝の気持ちは、常に持っておかなければならない。そういう人たちがいてくれたおかげで、日本リーグもできたし、Jリーグもできたし、海外への扉も開くことができた。それは絶対に忘れてはいけない」
 
 ワールドカップ初出場や海外移籍など、日本サッカーが大きなうねりを見せた時代、そのど真ん中にいて、歴史を紡いできた小野だからこそ、強い責任感を覚える。
 
「次の時代がよりよくなるために、僕らみんなが尽力すべき。そうすることが、今の状況を作ってくれた人たちへの恩返しになる」
 
 小野は何人かのレジェンドの名前を挙げる。カズさん(三浦知良)、ヒデさん(中田英寿)、ラモス(瑠偉)さん、釜本(邦茂)さん、奥寺(康彦)さん……。
 
「ちびっ子たちに夢を抱かせてくれた人たちですよね。時代は移り変わっていくけど、今、現役の選手たちと一緒に、子どもたちに夢を与えられるように、サッカーは楽しいものなんだと伝えて、日本サッカーを良い方向に導いていきたい」
 
 その傑出したスキルと無限のイマジネーションで、平成30年史を鮮やかに彩った小野に、あえて訊いてみた――日本サッカー界における自身の貢献度をどう考えているか、と。
 
「どうなんでしょうね、どれだけ貢献できたかは分からないですけど、日本サッカーを見てきて、自分のことを知っていただいている方がいてくれたら、少しは力になれたのかなって気はしますけど」

 そう謙虚に答えた小野は今年9月に40歳を迎えるが、まだまだ現役にこだわる姿勢を貫く。とにかく、サッカーが大好きだから。サッカーをしていない自分をまるで想像できないから。
 
 永遠のサッカー小僧の心には、「引退」の二文字は当分、浮かんでこない。
 
※本記事は、サッカーダイジェスト5月9日号(4月25日発売)掲載の記事から一部抜粋・加筆修正したもの。
 
取材・構成●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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