ACLで首位浮上!広島が大邱戦で示した進化の跡、キーワードは実績抜きの純粋な”競争”

2019年04月25日 寺田弘幸

昨季の主軸であっても例外なし。厳しい定位置争いがもたらす効果は?

大迫(左)、荒木といった若手が大邱戦で躍動。リーグ戦とACLで好調なチームを支えている。(C)Getty Images

[ACL グループステージ第4戦]大邱 0-1 広島/4月23日/フォレストスタジアム

 
FC東京戦でリーグ初黒星を喫し、中3日で臨んだアウェーの大邱FC戦。試合前日にメンバー選考について問われた城福浩監督は、フィジカル面だけでなくメンタル面も重要視するとし、「この試合にかける想いの強い選手で11人を揃えたい」と話していた。
 
 迎えた試合当日。指揮官はFC東京戦から先発メンバーを7名入れ替えた。リーグ戦に出場していた選手がベンチにずらりと名を連ねており、ターンオーバーで大邱戦に臨んでいないことを表わしている。「グループリーグを突破するにあたって本当に大きな試合。シックスポインターと言われる試合になる」と指揮官が位置付けていたなかで、勝利する確率が最も高いと踏んだメンバーこそ今回の11人だった。
 
 選択が誤っていなかったのか否か。それは結果をもって証明された。荒木隼人がCKから挙げたゴールをキッチリと守り抜き、1-0で勝利。城福監督は試合後、「試合に飢えている選手たちがチャンスを掴んで、この試合に懸ける想いがあったと思います。激しい練習をしてきた選手たちが報われるためにも結果が欲しかった。そういう意味ではホッとしています」と安堵の表情も浮かべ、「また新しい競争ができる」と大邱戦の勝利を噛みしめていた。
 
『競争』。これが今季の広島を支える原動力になっている。

「チーム内の競争意識がすごく高いので、こういう試合ができたのかなと思う。みんなで勝ち取った勝利」(川辺駿)
「(遠征直前に)アクシデントがあってイバ(井林章)がケガをしましたけど、そういう選手の気持ちも背負って全員で戦えたかなと思います」(清水航平)
 
 選手たちの口から自然と試合に出ていない選手に向けたコメントが出てくるのも、彼らがその存在を強く認識しているからに他ならないだろう。
 
 実際、今季の広島は若手の突き上げによって選手層が格段にアップしている。J1通算403試合に出場している水本裕貴はリーグ戦で出場機会を掴めず、昨季リーグ戦20得点のパトリックもベンチスタートが多い。昨季のチームにおいて象徴的な選手のひとりだった稲垣祥でさえ、負傷から戻ってきてもすぐにポジションを取り戻せないでいる。
 
 経験、実績を有す彼らが隙あらばポジションを奪還しようと、日々の練習からアピールを続けている状況だ。

次ページ選手間の”競争”こそ、城福体制2年目の生命線だ!

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事