先発平均年齢は30歳超、外国人FWを褒めたり怒鳴ったり…甲府を開幕8戦無敗に導いた指揮官のマネジメント力

2019年04月19日 サッカーダイジェスト編集部

ベテラン、若手に関係ない人選。誰が出ても変わらない守備のベース

今季から甲府の指揮を執る伊藤監督。開幕から8試合負けなしの戦いぶりで5位につける。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 9節の無敗対決となった水戸ホーリーホックとの一戦で逆転負けを喫したヴァンフォーレ甲府。開幕からの無敗は8で止まったものの、ここまで4勝4分け1敗の5位と順調な序盤戦を歩んでいる。その原動力になっているのが今季から指揮を執る伊藤彰監督の「マネジメント力」だ。

 
 ここまでの9試合でベンチ入りした選手は27人。メンバーに入っていないのは長期離脱中の金園英学、湯沢聖人、けがで離脱していた松橋優、高卒ルーキーの中山陸の4人だけだ。指揮官は中断期間がなく、42試合を戦い抜くシーズンで「31人全員の力が必要になる」とシーズン前から強調していた。言葉通りにコンディションや疲労度、モチベーション、直前のパフォーマンスなどを考慮しながらベテラン、若手に関係なく人選してきている。
 
 誰が出ても変わらない守備のベースを持ち続ける――。キャンプで落とし込んできた守備のコンセプトがチームに浸透しているからこそ、選手を入れ替えても機能する戦い、そして、代える決断ができる環境を支えている。
 
「外国人でも日本人でも守備の部分はやってもらわないといけない。その中で選手に応じて攻撃6で守備4なのか、攻撃7で守備3なのかは変わってくる」
 
 指揮官はチームトップの5ゴールを挙げているウタカを含め例外なくチーム内の役割を全うすることを求める。ドゥドゥやジュニオール・バホス、佐藤洸一ら多くの駒が揃う前線の選手たちは守備を免除されるのではなく、与えられた守備のタスクをこなした上で、攻撃で違いを生み出すことが課せられている。
 
 いかに主力のコンディションを1年間保ちながら、勝点を積み上げられるかは今季の甲府にとって大きなテーマだ。全試合に出場しているのは河田晃兵、小椋祥平、ドゥドゥの3人。30歳を超える河田や小椋、大きなけがの経験があるドゥドゥに加え、ここまでチームの戦いを支えるウタカや横谷も30歳を超えている。水戸戦の先発平均年齢が30・1歳だったように若いチームではない。現状はコンディションが高まり切っていないバホスを夏以降に戦力として使えるようにするために、練習場で褒めたり、怒鳴ったりして奮い立たせようとする指揮官の姿があるように、伊藤監督は現在と未来に目を向ける。昇格という唯一の目標にたどり着くためのルートに頭を巡らせ、ひとつのグループとして戦えるチームを作り、目の前の勝点に執着しつつ1年間を見据えた選手起用をしている。
 
 水戸戦は今季初めてピーター・ウタカ、ドゥドゥ、バホスの外国人3トップで挑んだが、攻守ともに歯車はかみ合わずに初黒星を喫した。それでもまだ1敗。このまま崩れることなく、いかに立て直していくか。46歳の若き指揮官の手腕に注目が集まる。
 
構成●サッカーダイジェスト編集部
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