ACLの"ミニ韓日戦"、韓国メディアの評価は真っ二つ「広島の“塩辛い守備”に屈する」「蔚山の秘密兵器がJ王者を制圧」

2019年04月11日 ピッチコミュニケーションズ

『オーマイ・ニュース』は「大邱、過負荷だったか」と見出しを打つ

D・ヴィエイラのPKで先制した広島は、渡が追加点。大邱に付け入る隙を与えずに2-0で完勝した。(C)Getty Images

 4月10日に行なわれたACLグループステージ3節。日本ではサンフレッチェ広島対大邱FC、韓国では蔚山現代対川崎フロンターレという"ミニ韓日戦"が開催されたが、前日に1勝1敗に終わった浦和レッズ対全北現代、慶南FC対鹿島アントラーズと同様、この日の結果も1勝1敗に終わり、韓国メディアの反応も二分された。
 
 例えば広島に0-2で敗れた大邱。それまでACL負け知らずで、敵地で3連勝を狙ったが、前半で2失点を喫して敗北したことを受けて「旋風はここまで…大邱、広島に完敗」(『スターニュース』)、「大邱、Jリーグの"塩辛い守備"広島の前に屈する」(『慶北新報』)と報じていた。
 
 多くの韓国メディアが大邱の敗因として挙げていたのが、広島の守備を崩せなかったことだ。それは裏返せば、強固な守備への評価でもある。「大邱、広島の鉄甕城(=鉄壁という意味)の前で滑り落ちた」としたサッカーメディア『ベストイレブン』は、「試合は事実上、広島にPKを与えた時点で終わってしまった。その後も広島は鉄甕城を築いた。フラット3から始まり、リードを奪うとフラット5に近い状態に変化。中盤のラインも低かった。広島は守備ラインと中盤の間隔を狭めた陣形を保ち、大邱が付け入るスペースをほとんど与えなかった」と評した。
 

 また、「2連勝後の無気力な敗北、大邱、過負荷だったか」との見出しを打った『オーマイ・ニュース』は、「広島は現在Jリーグ6試合・1失点で首位を走るチームらしく、頑丈な守備力を披露した。ホーム試合にもかかわらず、2-0でリードした後も守備ラインを低くした。大邱はそんな広島の堅固な守備を效果的に攻略できなかった」とした。

 一方、Jリーグ連覇中の川崎を下した蔚山の試合に関しては、「蔚山、Jリーグ・チャンピオンの川崎を制圧」(『蔚山MBC』)、「蔚山、Jリーグの強豪・川崎を撃破」(『世界日報』)と勝利した蔚山を称える報道が多く、特に後半アディショナルタイムに劇的なヘディングゴールを決めたキム・スアンを取り上げるメディアが多かった。

 身長192センチのキム・スアンは、2014年に蔚山に加入したが、ナショナルリーグ(実業団)やK2リーグのクラブでのレンタル生活が長かった苦労人で、大邱でのゴールは2017年のACLで決めた1点のみ。まだKリーグでは1点も挙げていない。しかし、この日のゴールで一躍、「蔚山の秘密兵器」との賛辞を浴びている。川崎について言及するメディアは少ない印象だ。
 

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