韓国代表FWソン・フンミンは人種差別の実情に胸中を激白! 「僕もイングランドで受けてきた…」

2019年04月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

トッテナム・サポーターから差別を受けたことも…。

トッテナムで4年目を迎えたソン・フンミンが、自身も被害を受けた人種差別に重い口を開いた。 (C) Getty Images

 いま、イングランド・サッカー界では人種差別問題が議論を呼んでいる。発端となったのは、先のユーロ2020予選での事件だ。

 3月25日に行なわれた敵地でのモンテネグロ戦。5-1の大勝劇を演じたイングランド代表の面々には、地元サポーターたちから野次が飛んだ。なかでも、ダニー・ローズ、ラヒーム・スターリング、カラム・ハドソン=オドイら黒人選手に対しては、聞くに堪えない人種差別的な暴言が浴びせられた。

 試合後、"被害者"となったスターリングは、「どの国であっても、ファンが人種差別的な野次をしたら、誰も試合を観にこられないようにスタジアム全体に処分を下すべきだ」と主張。FA(イングランド・サッカー協会)がUEFA(欧州サッカー連盟)に対して厳格な調査を依頼するという大問題となった。

 悲しいことに、問題は代表戦の場だけに限ったものではない。英衛星放送「Sky Sports」が実施した調査によれば、英国(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)のサッカーファンの約86パーセントが、サッカー観戦の場で何らかの人種差別行為を目撃しているという。
 
 絶え間なく続くサッカー界の人種差別の実情にプレミアリーガーたちは何を思うのか? トッテナムの韓国代表FWソン・フンミンは、現地時間4月8日に行なわれた記者会見で、「僕もイングランドでプレーするようになってから、人種差別を受けたし、見てきたよ」と述べ、さらに持論を展開した。

「人種差別については何度か話してきたけど、一番良いリアクションは、そういうことにリアクションしないことだと思う。それが僕の考える最善策だ。僕らは人としてフットボールをプレーしている。どこの出身か、どっちの人間かなんて関係ない。フットボールをしているということが一番大事なんだ。もちろん人種差別を受けている選手たちは守るし、そして一緒に戦うつもりだ」

 今年1月に味方であるはずのトッテナム・サポーターから人種差別行為を受けたことが判明していたソン・フンミンは、モンテネグロ戦後に「僕はもう十分に(屈辱を)味わってきた。いったいいつになったら終わるんだ!」と訴えたチームメイト、ローズの心中をおもんばかった。

「僕らはこの件について話し合ってはいない。聞いても話したがらない時もあるからね。そのほうがいい時もあるんだ。もちろんダニーから僕らのほうに来れば、僕らは助けるよ。何でもサポートするさ。でも、選手として、人として、まずは自分で自分自身を守ろうとすべきだ」

 根深い人種差別問題をサッカー界全体でどう解決していくべきなのか。"当事者"でもあるソン・フンミンの言葉には、耳を傾けるに値する重みがある。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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