【川崎】泥臭さが売りのDF奈良竜樹が華麗なパスで沸かす! 敵の裏をかく新たな武器に注目!!

2019年04月06日 江藤高志

「今年から俺が持たされてるのは感じている」

C大阪戦で見事なスルーパスを通した奈良。新たな一面を見せスタンドを沸かせた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ6節]川崎1-1C大阪/4月5日/等々力

 知念慶の2戦連発弾や、田中碧のアシストなどが光る試合だったが、この試合で是非触れておきたいのが奈良竜樹のプレーぶりだ。
 
 谷口彰悟との連係で都倉賢から自由を奪い、相手攻撃陣からのプレスを受けるなかでも冷静にパスワークに顔を出す。ロングボールに逃げることなく丁寧に試合を作る川崎の攻撃を下支えした。
 

 ボールを握る川崎のスタイルは、カウンターのリスクと裏腹なもの。この試合も危ない場面は少なくはなかったが、奈良の1対1での火消しぶりは見事だった。一か八かのアタックではなく、奪えるという確信を持った対応で、相手ボールを弾き続けた。
 
 守備の働きでチームを救った奈良は、攻撃でも良さを見せている。前半から、攻守が切り替わる局面で鋭いフィードを成功させていたが、場内を沸かせたのが後半の2本のスルーパスだった。1本目が56分の知念慶へのパスで、2本目はその知念と交代出場の小林悠に付けた82分のパス。ともに1点ものの縦パスでCBの選手が出すレベルのパスとは思えないものだった。
 
 この2本のパスについて奈良は「監督から常に前を見ておくということは言われてます」と振り返りつつ、そうしたパスを出すに至る理由をこう述べている。
 
「今年からオレが持たされてるのは感じている」
 
 足もとに定評のある谷口ではなく、わざと奈良に持たせるのは、奈良の足もとが相対的に谷口に劣るとの評価をされているから。より弱いところを突くのは攻撃のセオリーだが、そうした敵の意図を察しつつ、それを逆手に取ったという意味で見事な2本のスルーパスだった。
 
 等々力を沸かせた決定的なパスだったが結果的に得点になっておらず、奈良からは満足げな表情は一切窺えない。それどころか「ゴールにつながっていない、ということは質の部分でまだまだ向上させることはできると思います」と述べて向上心を見せた。
 
 努力を惜しまないこの姿勢が川崎加入後の奈良の成長を裏付けている。泥臭いプレーでサポーターに支持されてきた奈良が、華麗なスルーパスでチームを救う日も近そうだ。
 
取材・文●江藤高志(川崎フットボールアディクト)

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