好調ブンデスの2クラブがシーズン終了前に監督交代を決断。そのワケは?【現地発】

2019年04月06日 中野吉之伴

かつてペップはバイエルンの契約更新を拒んだ

シーズン終盤に”失速”しているボルシアMG。前節ではデュッセルドルフに敗れ、選手たちも落胆を隠せなかった。 (C)Getty Images

 成績が悪いと監督は飛ばされる。追い込まれたクラブが選択する常套手段だ。

 だが、成績が良いからいつまでも監督でいられるというわけでもない。現マンチェスター・シティ監督のジョゼップ・グアルディオラは「1チームに監督が長くいすぎるのは良くないと思う。3年周期くらいがいい」と話し、当時契約延長を熱望するバイエルン首脳陣からのオファーを断った。彼は、クラブにはつねに適切な緊張感と継続性がなければならないと訴えていた。

 監督交代の決断をどのタイミングで下すのか。それはクラブの力量が試されるポイントでもある。

 今季レバークーゼンは、戦績的に盛り返してきた18年12月にハイコ・ヘルリッヒを更迭し、ペーター・ボシュを新監督として迎え入れ、内容的にも結果的にも上昇気流に乗ることに成功した(現在7位)。

 直近では、現在CL出場権を狙える位置につけているボルシアMG(5位)が今季限りでディーター・へキングとの契約解消を発表。へキングは18年11月に契約を2020年まで延長したばかりだった。

 契約解消の理由について、チームマネージャーのマックス・エッベルは「私のマネージャーキャリアで一番難しい決断だった。だがクラブのための戦略的な決断だ」とその理由を口にしていた。現在の順位に導いた手腕は評価されているものの、直近7試合で1勝2分4敗と悪い流れから浮上できない点を問題視された。

 どちらの更迭劇もクラブ哲学との密接な関係がある。

 クラブとして、どのようなビジョンで戦うのか。

 いくら一時的に勝率が良くなったとしても、そこに将来性を感じさせるものがなければ、どこかで大鉈を振るう必要も出てくる。もちろんそれが正しい決断となるかどうかは分からない。だからこそ、求められるのは、それが正しい決断となるための確固たる哲学とコンセプトがクラブにあることだろう。

 スポーツディレクター(SD)、GM、強化部長、代表取締役。役名は様々だが、フロントレベルでクラブとしての将来像が明確に描かれ、自分たちが願う道を進むために何が必要で、どう取り組むのかというイメージがどこまで持てているか。それがあいまいだったり、表面的なアプローチだけだったりするクラブでは、いつまでも足踏みを続けることしかできない。

次ページ現代サッカーはフロント主導ではとん挫してしまう

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中