好調の大分がぶち当たったJ1の"壁"。閉塞感を打ち破るために必要なものとは

2019年04月02日 柚野真也

広島の組織だった守備を前に、大分の選手たちは嘆くしかなかった

4試合・5得点と爆発していた藤本(10番)も広島戦では沈黙した。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ5節]大分0-1広島/3月30日(土)/昭和電ド
 
 自陣で堅牢な守備ブロックを築くサンフレッチェ広島に対し、大分トリニータは中盤でボールを支配しながら、勝負どころで精度を欠きチャンスを広げることができない。サイドチェンジで揺さぶりをかけるも張り巡らせた守備網にかかり、縦の長いパスも相手DFに跳ね返される。少ないシュートチャンスはことごとく枠から外れ、ここ数試合機能していた自慢のサイドアタックも、スペースを消されては効果を発揮できなかった。
 
 しかしそれ以上に、広島の守備を高く評価せねばならないだろう。リーグ戦5試合で2失点の守備は本物だ。最終ラインは5枚揃え、その前に4人が並ぶ2ブロック。それぞれが距離感を保って相手スペースを与えず、奪いどころを限定し、ボールが入った瞬間に複数で一気に襲い掛かる。とりわけ、大分の得点源である藤本に対する対応は素晴らしく、ほとんどと言っていいほど仕事をさせなかった。
 
「自分たちのボールの動かし方はできたが、スペースがなく崩すことはできなかった」(藤本)
「パスで揺さぶるだけでは打開できない。個の仕掛けがなければ変化は起きない」(小塚)
 
 広島の組織だった守備を前に、大分の選手たちは嘆くしかなかった。

 後半もボールを持たされているとも言える、じれったい展開の中で57分に与えてはいけない先制点を許す。ビハインドを負った大分は、人数を割いて攻撃を仕掛けたが、「ボールを持たれてもブロックの外でやらせた。ブッロクに侵入されることはなかった」と敵将の思惑通りの展開となった。この日の広島の守備は固く、こじ開ける可能性はほとんどなかった。
 
 確かに広島の出来は素晴らしかった。だが、相手の術中にものの見事にはまってしまい、状況を打開するための流動的なポジションチェンジやドリブルでの仕掛けと言ったひと工夫が足りなかったのは事実だ。
 
 0ー1といいところなく敗れ去った今回の広島戦は、昨季から何度か繰り返されてきた「負けパターン」によるもの。思い返せば2節の松本戦もゲームを支配しながら、守備的な相手を崩し切れず、先に得点を許して試合展開を苦しくした。
 
「ミラーゲームでマッチアップ。最後のところで相手の守備をこじ開けることができない。サッカーの難しさを感じている」(片野坂監督)
 
 大分が直面するひとつの"壁"、それは自らの得意とする形に相手をハメられない試合展開での攻撃オプションの少なさである。
 

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