いまだ未勝利の磐田の救世主は?「奇跡的に」回復してきた中村俊輔しかいない

2019年03月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「ボールが浮いた時に見える周りの景色だったり」

試合前のアップで軽やかなリフティングを見せる俊輔。鹿島戦の出場はなかったが、コンディションは確実に良くなってきている。写真:徳原隆元

[J1第5節]磐田1-1鹿島/3月30日/ヤマハスタジアム
 
 最後に取材したのは、いつだったか思い出せない。それぐらい、中村俊輔に会うのは久しぶりだった。
 
 ホームでの鹿島戦、俊輔はベンチ入りしたものの、出場の機会はなかった。ミックスゾーンを通り過ぎる俊輔をなかば強引に呼び止める。お元気ですか? とまずは挨拶すると、「元気だよ」と柔らかい笑顔で返してくれた。
 
「足首も治ってきたし」
 
 コンディションについて聞けば、「すごく良くなってきた」という。開幕前のキャンプではすこぶる調子が良かったが、松本との開幕戦の前後で、不安視されていた足首の状態が多少、悪くなり、実戦から離れる日々が続いていた。
 
 だが、「試合に出なかったら出ないなりに」コンディションは上向きになったという。
 
 負傷箇所の痛みがなかなか取れない時期は、「俺ももう、このまんまかな、とか思った」と気持ちも後ろ向きになったが、「だけど、痛くなくなってきたんだよね、奇跡的に」と表情を明るくする。
 
「こうやって蹴れるようになってきたし、今、すごく嬉しくて。試合で使ってほしいね」
 
 試合前のアップでは、他の選手たちがシュート練習をしている一方で、俊輔はひとり、リズミカルなリフティングを見せていた。
 
「ボールフィーリングとかを確認していた。ボールが浮いた時に見える周りの景色だったり。俺はそういうほうがいい」
 
 独自の調整方法で、着々と準備を進めている。低迷が続く磐田の救世主は、この希代のファンタジスタしかいない。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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