「目に見える処分を下すべきだ」EURO予選でローズに人種差別の野次…イングランド代表メンバーは激怒!

2019年03月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

ローズがイエローカードを貰ったことに対して…

試合終了間際にイエローカードを提示されたローズ。この行為に対して、観客から心ない野次が飛び、イングランド代表の選手、監督、スタッフらが憤慨している。 (C) Getty Images

 イングランド代表は3月25日、EURO2020予選を戦い、モンテネグロに5-1と快勝した。先制を許しながらも、23日のチェコ戦に続く大量5得点を奪っての逆転勝利。予選開幕から2連勝、しかも10ゴールという最高のスタートダッシュに成功している。

 だが、試合後のイングランド陣営は怒りを露わにした。ホームのサポーターからダニー・ローズらに対する人種差別野次があったからだ。ガレス・サウスゲイト監督やラヒーム・スターリング、カラム・ハドソン=オドイらが激怒している。

 サウスゲイト監督は、英国公共放送「BBC」で「受け入れられない。ローズがイエローカードをもらった時に野次を耳にしたのは間違いない」と述べた。

「疑いない。私の耳で聞いた。我々は、選手たちが支えられていると感じられるようにしなければいけない。正しいかたちで報告しなければならない。(あの野次を)多くの人が耳にしたのは明らかだ。適切な対処をしてくれると信頼しなければいけない」

 ローズ(祖父がジャマイカ出身)への野次は、BBCの記者やコメンテーター、カメラマンも、耳にしたと証言している。ゴールを決めた際、両手を耳に当てて野次に反発したスターリングは「一部の愚か者が素晴らしい夜を台無しにした。ああいうのを耳にし、素晴らしい勝利の後にこんな話をするのは本当に悲しい」と嘆いた。欧州サッカー連盟(UEFA)に報告する意志も明らかにしている。

「耳にしたのは1、2人じゃないはずだ。ベンチのみんなが聞いた。本当に処分すべきだ。やっていた2、3人だけじゃなく、サポーター全体としてだ。どの国であっても、ファンが人種差別の野次をしたら、誰も試合を観にこられないようにスタジアム全体(を処分対象)にすべきだ」

「そうすれば、処分が終わった時に、ファンは考え直すようになるはずだ。彼らはサッカーが好きで、母国の試合を観たいと望んでいる。あんなバカなことをする前に、考え直すようになるはずだよ」

 ハドソン=オドイも「僕らは平等であり、どこであっても差別はあるべきじゃない。受け入れられないことだ。UEFAの適切な対応を願う。僕とローズは猿真似を聞いたんだ」と述べている。

 この日が代表初先発だったデクラン・ライスは、「僕らはサッカーをしに来た。相手を尊重してきたし、彼らも僕らに対して敬意を払うべきだ」と訴えた。

「ローズは失望していたよ。ずっと差別をなくそうって言っているけど、いつになったら本当に終わるんだ?ずっとあるじゃないか。もっと罰するべきだよ。これ以上、僕らに何ができるのか分からない。たくさんキャンペーンをして、『差別をなくそう』と言っているけど、こういうところに来るとまた差別がある。振り出しに戻るんだ」

 ライスが主張するように、人種差別撤廃を目指す取り組みは以前からあるが、実際には各地で差別問題が頻発するなど根絶にはほど遠いのが現状だ。スターリングが訴える入場禁止処分など、具体的な対策が待たれる。

 UEFAの裁定に注目したい。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
 
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