「大迫頼み」からの脱却がコロンビア戦のテーマ。新たな可能性を提示する前線の組み合わせは?

2019年03月21日 飯尾篤史

鈴木と鎌田に大迫の代わりを求めるだけなら、失望に終わるだろう。

左から鈴木、鎌田、香川、南野。前線の組み合わせはどうなるのか。森保監督の采配に注目が集まる。(C)SOCCER DIGEST

 大迫勇也頼みの攻撃からの脱却――。これが、コロンビア、ボリビアと対戦する3月シリーズのテーマのひとつなのは間違いない。
 
 今年1月のアジアカップでは、大迫へのくさびのパスが攻撃のスイッチとなり、大迫のポストワークから連動した攻撃が始まった。逆に、大迫がピッチにいなければ、攻撃のスピードアップすらままならず、不在の影響が大きいことは明らかだった。
 
 実際、森保一監督もメンバー発表の際、「大迫頼みの攻撃の戦術というところは私も質問を受けたり、いろいろなところで見聞きしたりしている」と言及している。
 
 最も簡単な解決策は、"ポスト大迫"と言うべき優れたファーストストライカーを起用することだが、残念ながら今の日本には大迫に匹敵するセンターフォワードはいない。
 
 そこで森保監督が導き出したのは、ポストプレーのスペシャリストを選ばない、という解決策だった。
 
 負傷中の大迫に代わって今シリーズで選ばれたFWは、鈴木武蔵と鎌田大地のふたり。鈴木はスピードや跳躍力といった身体能力が武器で、ゴールに向かって直線的にプレーするストライカーだ。これまで目についた荒削りな面も改善され、トラップの技術やなめらかな動き出し、シュートの正確性に成長の跡が見える。
 

 一方、鎌田の魅力はなんといってもシュートのうまさ。右でも左でも正確にコースを居抜き、今季シント=トロイデンでは12ゴールをマークした。また、力強いドリブル突破と柔らかいボールキープも魅力で、剛柔併せ持つオールラウンダーでもある。
 
 ただし、彼らをただ1トップに入れて大迫の代わりを求めるだけなら、失望に終わるだろう。そもそも鎌田に至っては、適正はトップ下なのだ。では、どうするか。
 
 トップ下の香川真司と南野拓実を含めた4人の組み合わせで考える必要がある。
 
 最もオースドックスなのは、1トップに鈴木、トップ下に香川や鎌田を起用するパターン。香川も鎌田もタメを作って周りを生かせるタイプ。鈴木が裏を狙ってDFを押し下げて生まれるバイタルエリアのスペースで、香川や鎌田が縦パスを受けて前を向く。最前線にくさびのパスを打ち込むのではなく、2列目で起点を作るというわけだ。
 
 振り返れば、大迫も常に最前線でDFを背負っていたわけではない。中盤まで下がってボールを受け、2列目が飛び出すためのスペースや、SBが攻め上がるための時間を作り、自身もゴール前に入っていった。大迫がピッチにいるときから起点はバイタルエリアに作っていたのだ。
 

次ページ周りを生かし、自分も生きるという点で、鎌田は大迫に近い存在だ。

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