【U-17代表】川口能活コーチが始動!前回のW杯に飛び級参戦した逸材GKが明かすレジェンドの教え

2019年03月22日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

鈴木が印象に残っている話はふたつ。プレー面と過去の経験談だ

鈴木が川口コーチのプレーで覚えているのは、やはり2004年のアジアカップ。リアルタイムでは見ていないが、ヨルダン戦のPKストップは脳裏に刻まれている。(C)SOCCER DIGEST

 小雨が降るなか、グラウンドの脇で熱心に選手を指導している人物がいた。3月21日にまで行なわれたU-17代表の福島合宿で、GKコーチを務めたレジェンド・川口能活氏だ。
 
 川口コーチの経歴は今さら言うまでもないだろう。1996年のアトランタ五輪ではU-23代表の一員として、サッカー王国・ブラジルを撃破。その後はA代表で活躍し、4度のワールドカップ出場や2004年のアジアカップ・シリア戦で見せた神懸かり的なPKストップなど、語り草になるプレーは数知れない。そうした日本を代表する守護神は昨季まで相模原に籍を置いたものの、シーズン終了後に現役を退いた。

 その後の動向が注目を集めていたなかで、選んだ道は指導者。しかも、引退直後にも関わらず、いきなり日本サッカー協会のトレセンコーチに抜擢されたのだ。

 協会からの大きな期待が窺えるなか、今回はU-17代表の合宿に帯同。将来を有望視されるGK3人にどんな指導をするのか。そして、何を伝えたのか。そこで前回のU-17ワールドカップに飛び級で出場し、今大会での活躍が待たれる188センチの大型GK鈴木彩艶に、いかなる教えを受けたのか尋ねてみた。
 
 プレー面でもっとも印象に残っている助言は身体の重心についてだったという。「構える時の重心。移動してから、いかに前に重心を置くか。それで止められるか、止められないが決まって来る」とし、続けて「それは練習から大事にしていきたい」と語った。
 
 そして、もうひとつ印象に残っている話があるという。ミーティングで伝えられた過去の経験談だ。
 
「ミーティングでは感謝の気持ちを忘れないことの重要性を説かれました。そして、印象に残っているのは川口さんの経験談です。アンダー世代の代表で1-7の大敗を喫した経験があり、その悔しさは忘れずにやってきたと話されていました。自分もそういう悔しさを忘れずにやっていきたいなと思いました」
 
 昨季は所属する浦和ユースで掴んだ出場機会はごく僅か。U-16アジア選手権も前回のU-17ワールドカップに出場していたため、規定によって大会に出場ができなかった。そうした悔しさをバネに飛躍を期す鈴木。川口コーチの助言がガーナ人の父を持つ有望株を、さらなる高見に導くきっかけになるかもしれない。
 
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェスWeb編集部)
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