【セルジオ越後の天国と地獄】香川を褒めるのはコンスタントに結果を残してからでも遅くはない

2014年09月25日 週刊サッカーダイジェスト編集部

香川を持ち上げ過ぎ。厳しく検証するのがメディアの役割だ。

ドルトムント復帰戦で1ゴールを挙げた香川だが、あくまで好スタートを切ったに過ぎない。(C) SOCCER DIGEST

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※週刊サッカーダイジェスト10.7号(9月24日発売号)より
 
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  マンチェスター・ユナイテッドからドルトムントに香川が復帰し、連日メディアで取り上げられているね。
 
 優勝に貢献した選手が戻って、しかも復帰初戦でゴールを決めたのだから、ドルトムントのサポーターは嬉しいはずだ。もちろんゴール自体は評価できるけど、相手のレベルも見ないといけないよ。あくまで相手は格下であって、香川の過去の実績も考えると、これぐらいは当たり前。即戦力として迎えられた彼の立場なら、リーグ戦である程度の活躍をするのは普通なんだ。難敵のバイエルン戦やチャンピオンズ・リーグでどれだけ結果を残せるか。それが香川にとって、今後のテーマになるだろうね。
 
 要するに、プレミアリーグ時代より結果を出さないと、選手としての価値がどんどん落ちるわけだ。それに優勝した時のイメージをみんなが持っているから、ちょっと調子が悪いと周りからの目も厳しくなる。最終的にドルトムント復帰に収まったけど、落としどころはそれしかなかったというのが、本当のところじゃないかな。あくまでも古巣に戻り、好スタートを切ったというだけに過ぎないよ。それをあまり持ち上げ過ぎると、まるでワールドクラスのチームを相手に活躍をしているかのようにみんなが錯覚してしまう。
 
 香川が復帰した3節で、マインツの岡崎が2ゴールを挙げる活躍を見せたけど、メディアは香川のほうを大きく扱ったよね。復帰戦だからという理由は分かるけど、それにしても褒め過ぎじゃないかな。もっとコンスタントに結果を残してから褒めるぐらいが、ちょうどいい。
 
 誰かをアイドルのように扱って、また次のワールドカップに向かうの? ビジネスとしてはそれで良いかもしれないけど、そのまま行ったら、結局ロシア大会もブラジル大会と同じような結果を招くことになりかねない。
 
 誰かをスターに持ち上げればどうなるか。ブラジル大会で学んだことを、みんながもう一度考えないといけない。厳しい目で検証するのがメディアの役割だけど、ひと夏の思い出のようにブラジル大会のことは忘れてしまったのかな。役割を放棄して、ただ一喜一憂していたら、メディアが日本サッカーの未来を潰している、と言っても過言ではないよ。

次ページ監督の内部昇格は、Jリーグが企業スポーツである証拠。

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