「新スタジアムには翼ミュージアムも…」高橋陽一代表が考える「南葛SC」の未来像とは?

2019年04月03日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

「そう簡単ではありませんが、理想は4年でJ3ですかね(笑)」

南葛SCの未来について語ってくれた高橋氏。理想の展開は「最短なら4年でJ3」と明かした。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

「南葛SC」としてJリーグを目指すプロジェクトも今シーズンで7年目に入った。チームは東京都社会人リーグ3部(以下、都リーグ)からスタートして、現在同1部まで歩みを進めている。
 
 目標とするJリーグ入りは、まだまだ道半ば。今シーズンは都リーグ1部を勝ち抜き、さらには関東社会人サッカー大会で2位以内に入り、来季の関東社会人リーグ(2部)入りが大きなミッションとなる。
 
 チームの名付け親でもある漫画『キャプテン翼』の原作者で、代表取締役の高橋陽一氏は、南葛SCというクラブの"これから"をどう見通しているのだろうか。東京・葛飾区に根を下ろすクラブの、夢のある未来図について伺った。
 
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 南葛SCは今季、元日本代表MFの福西崇史氏を監督に抜擢。さらに、やはり元日本代表MFで鹿島などで活躍した青木剛を獲得すると、元札幌の石井謙伍、元鹿島の佐々木竜太など、Jリーグでのプレー経験を持つ選手たちを次々に獲得して、補強に努めた。「"そういう"選手たちを入れないと勝ち切れない」と、高橋氏は都リーグの厳しい現実を語るが、クオリティの高い選手が揃ってくるにつれて、目標への手応えも実感しているようだ。
 
「最初にやり始めた頃は『どうなるんだろう』といった、何も見えない状態だったんですが、人が増えてきたり、良い選手が入ってきたり、さらに福西さんが監督になってくれたり……。徐々にですが、なんとなく現実味が帯びてきているのを感じますね」
 
 さらに、チームを取り巻く環境も含めて、高橋氏は南葛SCの理想的な在り方を次のように語る。
「スタジアムに関しても葛飾区といろいろ話し合いをやったりしましたし、そういう部分も含めて最初に描いていた毎週末に地元の人たちがスタジアムに集まって、"おらが街"のチームを応援するという絵が少しずつ見えてきました。ヨーロッパでは普通の光景なんですが、そういうのを地元の葛飾区でできるようになればいいな、という想いでやってきましたから」
 
 チームの補強が着々と進み、環境面でもおぼろげながら未来が見え始めている。気は早いが、高橋氏はあと何年先の未来で南葛SCのJリーグ入りを考えているのだろうか。
 
「理想は1年ずつステップアップしていくことなので、今のJ7(都リーグ1部)から来年に関東2部に上がって、再来年に関東1部。それからJFL、J3と順調にいけば、最短で4年。理想は4年でJ3ですかね。もちろん、そう簡単ではありませんが」
 
 そうしたなか、チームは福西新監督のもとで、すでに今シーズンの戦いに臨んでいる。開幕2戦で1勝1分けとまずまずの滑り出しを見せている南葛SCだが、高橋氏自身は志向するサッカーやチームコンセプトについて、とくに現場への要望は出していないという。
「とりあえず、今の段階でそうしたこだわりはありません。どんなサッカーをしたいかというよりも、結果がすべてのカテゴリーだと思っているので、上がってくれるサッカーをしてもらえればいい。そこは福西監督やチームに任せています」
 
 新指揮官に全幅の信頼を寄せ、選手たちの奮闘を願う高橋氏。そこには「南葛SC」の看板を背負って戦う現場の監督、選手たちへの確かなリスペクトが感じられた。

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