「勝負する自分に戻りたい」湘南の梅崎司が今季ゴールにこだわる理由

2019年03月16日 佐藤亮太

「“ヒーローになりたい”“もっと目立ちたい”というのがベースにあった。だからこそ成長できた」

今季ルヴァンカップの長崎戦で初ゴールを決めた梅崎。さらなるゴールへの意欲を語っている。(C) J.LEAGUE PHOTOS

「今年、チームに還元するものがより明確になった。還元?それはやっぱりゴールすること。‘自分が獲る’‘ゴールを演出する’そう強く意識してプレーしたい」
 
 1月下旬、湘南ベルマーレの練習場でMF梅崎司はこう語った。この決意は今季のプレーに込められている。
 
 3月6日、ルヴァンカップ開幕戦。湘南はアウェーでV・ファーレン長崎と対戦。ケガで出遅れ、今季初先発した梅崎は開始4分、シュートのこぼれ球に反応。押し込んで先制し、今季初得点を決めた。長崎県出身の梅崎。2年連続の凱旋弾に「ゴールに一直線に向かうことを意識した。良いフィーリングでできた」と手応えを語った。続くリーグ3節のアウェー・鹿島アントラーズ戦には失点直後の59分に投入。ゴールはなかったが、出場時間31分ながら、チームで4番目に多い17回のスプリントでチームを助けた。
 
 より前へ。よりゴールへ――。
 
 そう強く意識してプレーするまでには"浦和時代の自分"を清算しなければならなかった。
 
「浦和では、他にやってくれる強烈な個性を持った選手が多くいた。ならばとバックアップする感じでもやっていけた。周りとうまく合わせることも能力のひとつ。これもプロとして生きる道」
 
 実際、梅崎はFWのほかに左右両サイド、トップ下で起用され、プレーの幅は広がった。図らずも自らサポート役に回った梅崎。それがチームのため、勝利のためには一番だと思いながらも、どこか「こうじゃない」と違和感を覚えた。
 
「勝負する自分に戻りたい」
 そう改めて決意させたのが昨季の残留争い。最終的に湘南を含め、勝点「41」に5チームが並ぶ ひりつく戦いのなか、梅崎は"かつての自分"を見た。
 
「19歳、20歳、いや、もっと若い頃にあった"ヒーローになりたい""もっと目立ちたい"というのがベースにあった。だからこそ成長できた。ユースからトップチーム昇格ができ、さらに試合に出られるようになり、代表にも選ばれた。成長した時にそうした強い意識が必ずあった」
 こうした意識を持ち、プレーに移すことはチームの今年の課題だ。

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