今年のFC東京はひと味違う?久保建英のトップ下起用で変わった潮目

2019年03月15日 馬場康平

昨シーズンから模索してきたシステム変更が、鳥栖戦では奏功した

久保をトップ下に配した配置変更がハマり、終盤に2ゴールを奪った。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 FC東京は、1年前とは対照的な好スタートを切った。昨季はリーグ開幕から3試合終了時点で、奪った勝点はわずか1。これは、クラブ史上最悪のスタートでもあった。
 
 一方で、今季は2勝1分けと順調に勝点7を積み上げ、現在2位につけている。
 
 長谷川健太監督1年目となった昨季は出鼻を挫かれたものの、初勝利を挙げた4節・湘南戦以降は勝点を伸ばし、前半戦を2位で折り返した。だが、夏場に失速。結果的に、6位でシーズンを終えている。
 
 その失速の要因は、複数あるだろう。ディエゴ・オリベイラ、永井謙佑に次ぐ得点源の不在、守備ブロックを固めた相手に対する攻撃オプションの不足。そして、若手が頭角を現し、下降線を辿るチームを勢い付かせることもできなかった。
 
 そうした先送りとなっていた課題克服に、一筋の光が見えてきたのがJ1・3節のサガン鳥栖戦だった。今季ホーム開幕戦となった、この試合の前半は開幕から調子の上がらない鳥栖にお付き合いし、低調な試合内容に終始してしまった。悪癖と言うべき、"らしい"試合内容にため息が漏れ聞こえた。
 

 指揮官は、ロッカールームに戻ってきた選手たちに問い掛けた。
 
「何をやっている。ここはホームだろう。サポーターたちの期待に勝利で応えないでどうする」
 
 このゲキでようやくギアが上がった後半、FC東京は攻勢に転じた。鳥栖に退場者が出ると、その勢いはさらに増した。
 
 しかし、ゴールは遠い。今季初勝点を挙げようとする鳥栖の守りにはね返され、スコアレスドローの色は濃くなり始めた。残り時間が削られていくなかで、ベンチから指示が飛ぶ。長谷川監督は、久保建英をトップ下に配した、4-3-1-2へとシステム変更を決断する。指揮官は、昨季就任直後から「基本システム(4-4-2)以外に、もうひとつ形を持ちたい」と語っていたが、4-3-1-2や、4-2-3-1といった並びに挑戦しながらも、満足のいく成果を挙げることはできなかった。
 
 だが、この日は、これが奏功した。「建英をトップ下に入れて、相手の嫌がるところでボールを受けて変化が出た。少し相手を崩した形でクロスが入るようになっていった。そこからオウンゴールにつなげることができた」(長谷川監督)。
 

次ページ喫緊の課題解決へ、FC東京が示したのはあくまでも可能性だ。

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