例えるならブラジルの新星ヴィニシウス!? “ノッテいる”川崎のドリブラー長谷川竜也には注目だ

2019年03月14日 本田健介(サッカーダイジェスト)

ACLのシドニーFC戦でも存在感を見せる

DFを抜き去る長谷川。シドニーFC戦ではキレのあるドリブルを見せた。(C)SOCCER DIGEST

[ACL グループステージ第2戦]川崎1-0シドニーFC/3月13日/等々力陸上競技場

「僕は評価する立場ではないですし、言い方はあれですけど、レアル(・マドリー)で言うヴィニシウスみたいな、矢のようなプレーで、アクセントになっていました」
 
 ACLグループステージ第2戦のシドニーFCで、途中出場から決勝ゴールを挙げた齋藤学が試合後に、レアル・マドリーで注目を集めるブラジルの新星を引き合いに出しながら称賛したのは、チームメイトの長谷川竜也だ。
 
 シドニーFC戦のMVPを選ぶとすれば齋藤で決まりだろう。ただ、長谷川のプレーも大いに光り、攻撃にリズムをもたらしていた。
 
 164センチ・60キロと小柄なドリブラーは、キレのあるフェイント、細かいステップワークで相手を翻弄し、チャンスを演出。ゴールは導き出せずに81分に齋藤と交代したが、ACL第1戦の上海上港戦に続いて確かなインパクトを残した。
 
 プロ2年目の2017年はリーグ戦で24試合に出場して5ゴールをマーク。川崎が悲願のリーグ制覇を成し遂げた最終節の大宮戦でも試合終了間際に5ゴール目を決めるなど存在感を発揮した。しかし、チームが連覇を果たした昨季は12試合で1ゴールと活躍の場が限られた。だからこそ今季のACLでの好調ぶりには、個人的に驚きがある。その想いを正直にぶつけてみると、こんな答えが返ってきた。
 
 
「調子が良いというよりは、自分の頭のなかで何をすべきか取捨選択ができるようになったんです。今までは分かっていても、フロンターレのスタイルに合わせるというか、そういう気持ちが少なからずあったんです。でも自分がベンチ外の時に感じたんですが、それだったら自分じゃなくても良いんじゃないかなと。
 
 自分は他の選手にはないものを持っているからこのチームにいるんだと気付いた。やらない後悔より、やってダメだったらそこで修正をすれば良いと割り切って、自分らしさを表現しようと迷わずプレーするようになりました」
 
 いつ、どの時にその考えに至ったかは定かではない。ただ自らの存在意義を模索し続け、自問自答しているうちに、強い覚悟とともにそうした想いが芽生えたという。
 
 元から「1対1になったら抜ける自信はあった」と語る一方で、心のどこかでは「自信があったにも関わらず控えめになってしまっていた部分もあった」と振り返る。
 
 しかしプレーに迷いがなくなった今は「仕掛けるべきタイミングで仕掛けられるようになった」と大胆なプレーが明らかに増えた。感覚としては「言葉にするのは難しいんですが、磨いてきたものと解き放つというか、そういった感じです」と笑顔を見せる。
 
 ポゼッションサッカーをベースとする川崎において、ドリブラーは攻撃のリズムに変化をもたらす貴重な存在だ。長谷川は今季、まだ目に見える結果を残せたわけではない。ただ、アクセント役として評価は高めつつある。今後は"自分にしかできないプレー"でさらなる成長を目指す。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
 
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