早くもプロ初得点!! 山形の大卒ルーキー・坂元達裕に指揮官が大きなポテンシャルを感じるワケ

2019年03月13日 嶋 守生

攻撃なら何でもできる。坂元の魅力はユーティリティ性

プロ1年目からスタメン候補を押しのけてブレイクした坂元。これが話題にならない訳がない。写真:滝川敏之

 東洋大から新加入した大卒ルーキー坂元達裕が山形でブレイクし、話題を呼んでいる。

 開幕戦の岐阜戦で途中出場からリーグ戦デビューを果たすと、2節の横浜FC戦ではスタメンでフル出場。3節の町田戦では66分にプロ初ゴールを叩き込んで強烈なインパクトを残した。

 それも選手層が薄いからではなく、スタメンの座を奪ったうえでの出場だ。キャンプから存在感を放ち続けながら、南秀仁、大槻周平、井出遥也、アルヴァロ・ロドリゲスといった今年期待されていたスタメン候補を押しのけながら、堂々とピッチに立っている。これが話題にならない訳がない。

 坂元の一番の武器は、相手の逆を取りながら自ら前に運んでいけるドリブル。ただそれだけではなく、「シャドーは点に絡まなければいけない」と得点への意欲も高い。横浜FC戦では中村駿から浮き球のパスを引き出してゴール前に走り込むと、胸トラップからボレーシュートを狙い、町田戦では相手GKとDFの間にあるボールを後ろからさらって押し込み、プロ初ゴールを決めた。
 
 相手の嫌がるスペースを見つける目と、そこに走り込めるだけのスピード、瞬発力も持ち合わせていて、中盤のビルドアップにも参加できる。木山隆之監督は「頭の中が整理されていて、自分の役割を認識しながら持っている力を出せている」といったクレバーな面も評価している。総じて、攻撃なら何でもできるというユーティリティ性が坂元の魅力と言えるだろう。
 
 ただ、そういった攻撃の魅力だけではなく、新たに身に付けた武器がある。それが、キャンプ中から自身が「得意ではない」と話していた守備だ。キャンプ前半のトレーニングでは、チェイシングでのパスコースの切り方が甘く、パスで簡単に剥がされていたが、いざ開幕を迎えてみると、その姿が一変していた。

 驚きを禁じえなかったのは横浜FC戦の後半。ボランチへのパスコースを上手く切りながら、相手のサイドバックやセンターバックを追い込んでいき、奪い返せば自ら攻撃の起点となっていた。阪野豊史の2点目が決まったFKは、奪われてもすぐに奪い返しにくる坂元に業を煮やしたレアンドロ・ドミンゲスが、坂元を身体ごと弾き飛ばしたことで得たFKからだった。
 

次ページ坂元の守備が急成長したふたつの理由

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事