神戸VIPトリオに仙台守備陣も驚愕! 技術の高さだけではない、その凄みとは何か?

2019年03月11日 小林健志

たとえ最初のプランがうまくいかなかったとしても…

神戸はイニエスタが全3得点に絡む活躍。シマオ・マテもタイトなマークで健闘を見せたが…。写真:滝川敏之

[J1リーグ3節]仙台1-3神戸/3月10日/ユアスタ
 
 東日本大震災から8年。震災復興応援試合と銘打たれ行なわれたJ1リーグ3節の仙台対神戸のゲームは、仙台がセットプレーからモザンビーク国籍MFのシマオ・マテのヘディングシュートで先制するも、神戸がFW古橋享梧のゴールで同点に追いつき、後半早々にFWダビド・ビジャのゴールで逆転。さらにFWルーカス・ポドルスキの折り返しをDF大岩一貴がクリアし切れずオウンゴールとなり、1-3で神戸の勝利となった。
 
 立ち上がりは仙台ペースだった。ここ2試合先発だったFW長沢駿に代えて、ルヴァンカップ・鳥栖戦で2ゴールのFWジャーメイン良をトップに据えて、FW阿部拓馬、FW石原直樹と3トップを組ませ、左サイドにスピードのあるMF石原崇兆を起用。激しいプレスから素早い攻守の切り替えでシュートまで持ち込む形が機能し、セットプレーから先制に成功した。
 
 しかし「仙台が普段は長いボールを使ってくる時間帯にしっかりボールをつなげていたので、古橋を少し下げて対応し、状況のコントロールを行おうとしました」と神戸のフアン・マヌエル・リージョ監督が古橋のポジショニングや守備の動きを修正。それに連動するかのように、ビジャ、ポドルスキ、MFアンドレス・イニエスタのV・I・Pトリオが仙台守備陣をかいくぐる立ち位置を取り出すと、一気にペースを握った神戸は同点に追いつき、後半開始早々逆転に成功した。
 
 仙台MFの蜂須賀孝治は「失点を重ねていくにつれて、ボールにプレッシャーをかけづらくなっていきました。そういった時でも近くの選手と一緒に相手にプレッシャーをかけていけばパスコースを絞れていくのですが……」と、勝手が違ったゲーム展開を振り返る。立ち上がりは思い切ってプレッシャーに行けていたが、相手の立ち位置の変化や、失点前後からの混乱状態も相まって、うまくプレッシャーに行けなくなった。
 
 立ち上がりのプランは当たっていた仙台の渡邉晋監督も「戦前に準備したプランを前半の途中で少し変えた部分までは選手の判断もあったので尊重したいです。しかしそこからどうするの、どうなるのというところまでは見ることができませんでした。察知能力が高まってくればゲームを落ち着かせて、前半1-0で帰って来ることができたのかなと思います」と前半途中からの相手の出方の変化に対し、さらなる修正を施しきれなかったことを認めた。
 
 たとえ最初の戦術プランがうまくいかなかったとしても、すぐにピッチ上で自ら修正し、自分たちのペースに変えられるのが神戸「VIPトリオ」の強みと言える。
 

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