ヴィッセル最強布陣を読む!サンペールの加入でイニエスタにも大きな相乗効果が

2019年03月08日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

サンペールに舵取り役を任せ、山口には1列前で働いてもらう

三田やキム・スンギュといった実力者を外さざるを得ない状況に。サンペールの加入はチーム内競争の活性化にもつながりそうだ。(C)SOCCER DIGEST

 ヴィッセル神戸は3月7日、バルセロナからセルジ・サンペールを完全移籍で獲得したと発表した。ポゼッションスタイルのさらなるスケールアップへ、バルサのカンテラ(下部組織)で育ったセントラルMFの加入で、神戸の布陣はどう変わるのか? ベストな布陣を読んでいく。

 まずシステムは1-0で勝利した鳥栖戦でも採用した4-3-3が最適だろう。『ブスケッツ2世』と呼ばれるサンペールは、パスセンスや状況判断に優れる。このゲームメイカーを、常にピッチ全体を見渡せるアンカーの位置に配し、舵取りを任せることで、チームに落ち着きが生まれるだろう。

 鳥栖戦でアンカーを担っていた山口蛍には、1列前のインサイドハーフで働いてもらう。一昨年と昨年のインターセプト数はいずれも1位の30回と、ボール奪取能力はリーグトップクラスで、動き過ぎてスペースを空ける恐れがあるアンカーよりも、より広範囲を動き回れるインサイドハーフのほうが持ち味は活きるだろう。戦術の絶対軸であるアンドレス・イニエスタの守備の負担を軽減する意味でも、大きな相乗効果が見込めるはずだ。
 
 外国人の出場(およびベンチ入り)は5人までのため、韓国代表で正GKを務めるほどの実力者であるキム・スンギュがはじき出されてしまうのは残念だが、ビルドアップ能力で上回る前川黛也がいるため、戦術的に大きな問題はないだろう。

 ただし前線とディフェンスラインは鳥栖戦のメンバーが好ましい。特に、抜け出しに優れ、抜群の決定力を誇るダビド・ビジャは最もゴールに近い最前線に固定すべき。イニエスタからビジャだけでなく、サンペールからビジャという、もうひとつの"バルサルート"が開通すれば、フィニッシュのパターンもより多彩になるだろう。

 それに加えて期待したいのは、鳥栖戦でも度々見られた、後方からのロングパスにビジャが抜け出す"一発"の形が増えること。こうして多くのパスコースや意図する狙いが生まれることで、さらに厚みのある攻撃が実現できるはずだ。

文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
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