3試合連続でノーゴールの浦和…山中亮輔の左足が現状打破の鍵になるはずだ

2019年03月04日 轡田哲朗

ビッグチャンスを演出している山中を外す手は考えにくい

セットプレーも任される山中のクロスは、間違いなく今季の浦和の武器だ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 浦和レッズはリーグ戦のホーム開幕戦となった2日の2節、北海道コンサドーレ札幌戦で0-2の敗戦を喫した。特に前半は完全に翻弄される試合展開だったが、90分を通して見た時に光明と言えたのが山中亮輔の左サイドだった。
 
 山中は今季の浦和に新加入した3人の日本代表経験者のひとりだけに、当然のように期待が大きい存在だ。その左足が持つ威力と精度はすでに実証されてきているが、浦和にとってみれば長年にわたって右利きの宇賀神友弥が務めてきた左サイドに加入したレフティであり、新たな攻撃の形を生み出すという意味で二重の期待が持たれてきた。
 
 2月16日のゼロックス・スーパーカップ、川崎フロンターレ戦こそ途中出場だったが、23日の開幕戦ベガルタ仙台戦に続き札幌戦でも山中が左サイドでスタメン起用された。全体にチームのプレーが好転した後半、山中のクロスから決定機が生まれた。
 

 61分、得意の左サイドでボールを受けた山中は、左利きならではアウトスイングのアーリークロスを供給した。対峙する相手選手のゴールラインよりからカーブが掛かり、GKと最終ラインの間を横切っていくボールに興梠慎三が合わせてゴールを狙った。これはGKク・ソンユンのファインセーブに阻まれたが、これこそが期待していた持ち味だと言えるだろう。
 
 さらに89分に山中は、相手DFふたりの間にポジションを取ったアンドリュー・ナバウトに、ピタリと合わせるクロスを供給し、A・ナバウトのヘディングはゴールに吸い込まれた。これは、パスを受けた時点で山中がオフサイドだったためにノーゴールとなったが、フリーで左足を振れる状況であれば、当たり前のようにニアの山を越えて間のターゲットに落ちるボールを蹴れることの証明でもあった。この日は、CKを蹴る場面もあり、そこでも槙野智章の頭に合うボールを供給している。
 
 山中はスタメンが濃厚だったこの札幌戦の前に、「このポジションを譲りたくない」という決意を話していた。チーム全体が低調で3試合連続無得点が続く中、ビッグチャンスを演出している山中を外す手は考えにくい。それであれば、より彼の長所を生かすことも考えるべきだろう。
 

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