「ウチが春先の平日に満杯になることなんて…」川崎のバンディエラ、中村憲剛が“金J”を語る!

2019年03月02日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

「イヤァオ!!」も炸裂!

自身のFK弾を勝利に結びつけられなかったことを悔いながらも、平日にもかかわらず大勢のサポーターが盛り上がったことについては好意的に振り返った。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 川崎フロンターレのバンディエラである中村憲剛が魅せた。

 3月1日、ホームの等々力陸上競技場に鹿島アントラーズを迎えた川崎はキックオフ直後から攻勢を強め、ワンサイドゲームを展開。そんななかで中村が輝きを放ったのは9分だ。

 敵ゴールから距離にして20メートルちょっと、位置は正面やや左寄りからのFKでキッカーを務めた中村は、「置いた瞬間に自分がしっかり蹴れれば"入る"という確信に近いものがあった」と試合後に振り返ったように自信を持って蹴り込むと、鮮やかな軌道を描いたボールはゴール左上へと吸い込まれた。

 J1初挑戦となった2005年から続く、J1での連続得点を15年に伸ばした名手は、得点直後にアメリカのプロレス団体「WWE」で活躍する世界的レスラー、シンスケ・ナカムラの決めポーズでもある「イヤァオ!!」も炸裂させ、会場に集まった2万3927人(最大収容人数は2万7495人)の観客を大いに盛り上げた。
 
 また、この日はチケットが試合前に完売していた。その要因は、昨シーズンのJリーグ王者とアジア王者の対決という好カードであることもさることながら、Jリーグの中継を担っている動画配信サービス「DAZN」のプロモーションの一環として行なわれる金曜開催、通称"金J"も挙げられる。

 そんな金J効果も相まって、大勢のサポーターが詰めかけたスタジアムの様子について、中村はやや感慨深げに語っている。

「ありがたいの一言ですね。金曜日といっても平日ですし、これが完売になるということはJリーグ側にとっても嬉しいことだと思います。もちろんキャパの問題はありますけど、それでもウチは、春先の平日に満杯になることはあんまりなかったですからね」

 2003年の入団以来16年のキャリアを川崎で築き、「川崎のバンディエラ」と呼ばれるようになり、その間に酸いも甘いも経験してきた中村。それだけに平日開催で客席が埋まることには感じるところがあるようだ。

「隔世の感がありますね。でも、そんなことを抱いているのはウチの選手では俺だけど思いますよ。もう大半は満杯のスタジアムでやっているのが当たり前の状態ですからね。でも、それは自分たちが結果を残したからでもあって。別に過去を遡れとは思わない。けど、いろんな積み重ねがあるとは思います」

 それだけに開幕2試合連続でのホームゲームで未勝利という結果に中村は、「サポーターの期待に応えられていないのは選手としてものすごく悔しい」とこぼしてもいる。そして「自分たちが結果を残さないと(サポーターが)離れていってしまうので、結果を残せるように頑張ります!」と強く意気込んだ大ベテランの目は勝利を渇望していた。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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