シーズン275本のクロスを供給! 熊本から来た男、田中達也はガンバの起爆剤となれるか

2019年03月01日 竹島麻里子

「持ち味の突破を見せてくれた」とツネ監督も評価

J1デビュー戦で溌溂とサイドを疾駆した田中。自慢のクロスに磨きをかける。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 2月23日、シーズン開幕戦でひとりの男がJ1デビューを果たした。ガンバ大阪のMF田中達也だ。

 福岡市出身の26歳。九州産大時代の2011年から2年間はロアッソ熊本の特別指定選手として登録され、15年に正式加入した。16年シーズンにはFC岐阜へ1年間の武者修行に出て、1年で復帰。そして昨シーズン、熊本でJ2全42試合に出場し、9得点・12アシストという結果とパフォーマンスが評価され、ガンバへの完全移籍が決まった。

 持ち味であるスピードを武器に、自身初となるJ1の舞台で挑んだ田中。開幕戦の控えメンバーに名を連ねると、出場機会が巡ってきたのは1-3で迎えた60分だった。

「前に前に圧力を持って、点を取り返しに行くためのパワーを発揮してくれ」

 宮本恒靖監督からそう指示を受け、右サイドハーフの位置に入る。劣勢の展開のなか、まずは守備で激しく身体をぶつけ、1対1で強い気持ちを示した。徐々に高い位置でボールを受けはじめると、対峙する相手を押し込み、クロスを上げ、チャンスを生んだ。宮本監督は、「後半残り20分の戦い方は次に繋がる。あと少しで同点というところまで盛り返すことができた。達也は持ち味の突破をたくさん見せてくれたと思います」と評価。積極的に前へ、前へと仕掛ける姿に、サポーターからも大きな声援が飛んでいた。

 
 田中自身は横浜F・マリノスとのJ1デビュー戦をこう振り返る。

「J1の舞台はお客さんの数も多いし、圧力を感じました。最初は多少緊張しましたが、だんだんこのスタジアムでプレーできる喜びを感じられるようになりました。自分がどういうプレーをしたいのか、味方がどんなプレーを求めているのか。そういう擦り合わせをしていけば、もっと良くなると思います」

 ボールを保持する時間を長くしながら、縦に速いサッカーを志向する宮本監督からは、常に要求されていることがあるという。

「ツネさんからは攻撃においても守備においても、強度とスピードを求められています。出ていくときのスピード、切り替えの早さ、一つひとつの単純なパスの質を上げること。ガンバは一人ひとりの選手の質が高いので、付いていくのに必死です」

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