吹き荒れた痛烈なブーイング! “敵”に転じた山口蛍が長居で感じた「不思議な気持ち」

2019年02月23日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

C大阪サポーターに改めて示した、その存在の大きさ

今冬にC大阪から神戸へ活躍の場を移した山口。慣れ親しんだ長居にさっそく“帰還”を果たした。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ1節]C大阪1-0神戸/2月22日/ヤンマースタジアム長居
 
 今季ヴィッセル神戸に加入した山口蛍が、J1開幕戦で古巣セレッソ大阪と対戦。慣れ親しんだ長居スタジアムに"敵"として舞い戻った。
 
 中学時代からC大阪の下部組織で育った山口へ浴びせられた洗礼は、嵐のようなブーイングだった。スターティングメンバー発表時には、アナウンスの声をかき消すように怒号が鳴り響き、試合が始まっても山口がボールを持つ度にスタジアムは大音量の咆哮に包まれた。
 
 対戦相手として長居の地に立って感じたのは「不思議な気持ちだった」という。開幕カードが決まってから「おそらくブーイングされるでしょうね」と練習後の囲み取材で漏らしていた山口。古巣サポーターからの痛烈な反応は覚悟の上だった。
 
「ブーイングは仕方ないし、しっかり受け止める」

 
 試合後にそう語った山口にとっては、ある意味、いつもどおり全力でプレーすることが恩返しだったのかもしれない。割れんばかりのブーイングを受けながらも「プレーは平常心でできていた」と振り返る。
 
 その言葉通り、新天地でのパフォーマンスは上々だった。ダビド・ビジャ、アンドレス・イニエスタ、ルーカス・ポドルスキという強力3トップの後ろに位置取り、常にサポートを怠らず、守備となれば出足の鋭い寄せでピンチの芽を摘んだ。攻撃偏重のチームが崩れないようにバランスを取っていたのは、ほかでもない山口だった。
 
 C大阪サポーターに対して、改めてプレーヤーとしての力量と、その存在の大きさを思い知らせたのではないだろうか。ブーイングの大きさは、逆にそれだけ愛情を注がれていたことの証でもある。
 
 試合後に山口は、C大阪のサポーターが集まるゴール裏へと向かい、丁寧に頭を下げた。そして、感謝の意を示した山口に対し、C大阪サポーターも「ホタル」コールで応じている。あのワンシーンに、彼の人間性とC大阪サポーターの愛情を感じずにはいられなかった。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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