【U-21日本代表】大学選抜とドロー……アジア大会連覇へ基本布陣4-3-3の熟成が急務だ

2014年09月10日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

連動性に乏しい攻撃面をいかに高められるかが鍵。

「チームコンセプトやプレースピードなどの確認作業のゲームにしようと話した」と言う手倉森監督。日本の初戦は、9月14日の香港戦だ。(C) SOCCER DIGEST

 韓国で開催される仁川アジア大会の初戦を9月14日に控え、千葉県内で直前合宿中のU-21日本代表が練習試合を行ない、全日本大学選抜を相手に0-0で引き分けた。
 
 アギーレ監督率いる日本代表と同じ4-3-3の布陣で挑んだU-21代表は前半、最終ラインから丁寧にボールをつないで組み立てるも、相手の鋭い出足の前に効果的な攻撃を仕掛けられなかった。1対1の局面で競り負けるシーンも目につき、イージーなミスからピンチを招く場面もあった。
 
 手倉森誠監督は途中、右ウイングの荒野拓馬を2トップの一角に据え、インサイドハーフの大島僚太をボランチに落とし、同じくインサイドハーフの野津田岳人を右MFに配置する4-4-2に布陣を変更。すると、距離感を掴み始めたU-21代表のパスワークにリズムが生まれ、決定的なチャンスこそ作れなかったが、相手を押し込む場面が増えてくる。
 
「4-4-2のほうが、まだみんなのやりやすさはあったかなと思う」と大島僚太が振り返ったように、4-3-3では特に攻撃の連動性に乏しく、右ウイングで先発した中島翔哉も「複数での崩しが上手くいかなかった。どうしても個人技でどうにかするしかなかった」と語っている。
 メンバーを大幅に入れ替え、再び4-3-3に戻した後半は、ビルドアップの安定感はあるものの、敵陣に入ってからのコンビネーションプレーには迫力が足りなかった。もっとも、ポゼッションでは相手を上回っていただけに、試合の主導権を握ることには成功。75分過ぎからは効果的な縦パスも入るようになり、シュートまで持ち込む場面も増えた。吉野恭平のワンタッチパスを起点に、原川力を経由して金森健志が抜け出した85分のシーンは、まさにチームの狙いとする形だった。
 
 結局、その後もゴールは奪えないまま、スコアレスドローでタイムアップを迎える。終盤になってようやくリズムを掴んだU-21代表だが、基本布陣とする4-3-3の完成度はまだ低いと言わざるを得ない。大島は「(4-3-3で)上手く攻撃も守備もできなければいけないと思う」と表情を引き締めれば、吉野は「全部止めて、回すだけではなくて、ワンタッチで相手の間に速いパスを入れたらテンポが変わって相手もついて来られないと思うから、そういうシーンをもっと増やしていきたい」と課題を口にする。
 
 6月の大阪キャンプでは0-2で負けた相手を今回は無失点で抑えたように、守備面の成果は着実に表われている。4-4-2というオプションも計算が立っている以上、初戦までの残り少ない時間で、ベースとなる4-3-3での攻撃面をどれだけ高められるかが、連覇の鍵を握るひとつの要素となる。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)
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