「もう十分だ」森保ジャパンを苦しめた名将ピムが監督業引退を表明。ガン闘病中との報も

2019年02月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

「引退を決意する、完璧なタイミングだ」

かつてJクラブを率い、何度も日本代表の前に立ちはだかったピム・ファーベーク氏。62歳の名将がその指導キャリアに終止符を打った。(C)AFC

 アジアカップ2019でオマーン代表を率いたオランダ人指揮官、ピム・ファーベーク氏が辞意を表明した。そして、監督業から引退することも公表している。

 オマーン・サッカー協会は大会終了後にピム監督と話し合いの場を持ち、円満に契約解除に至ったと発表。そしてピム氏は母国オランダのテレビ局『NOS』のインタビューに応え、お別れのメッセージを発信した。要約した内容は以下の通りだ。

「これまでのみなさんのサポートに心から感謝します。オランダを飛び出してからおよそ20年間、わたしは異国の地で指導キャリアを積んできました。でももう十分でしょう。それぞれの国で素晴らしい時を過ごし、忘れがたい経験をさせてもらいました。代表チームを指揮してワールドカップを戦えたのも偉大な記憶です。そして過去2年、オマーン代表での日々もファンタスティックでした。いまが引退を決意する、完璧なタイミングだと思います」

 最後に「これからは友人や家族との時間を大切にしたいですね」とも綴ったピム氏。その発表から半日後、『Fox Sports Asia』や複数のアラブ系メディアが報じたのが、現在、氏がガンを患って闘病中であるというニュースだ。オマーン協会の関係者からの情報で、病状などの詳細は明らかにされていない。『Ahdaaf』は「監督業引退の最大の理由はガンと闘うためだった。我々は彼を強く応援する」と伝えている。

 かつてオーストラリア代表で薫陶を受けた元DFクレイグ・ムーア氏もツイッターで、「クラブ(ボルシアMG)と代表チームの両方で師事した、本当にグレイトな人物だ。そして彼はまた、ファイターでもある」と、メッセージを贈った。ムーア氏は現役時代にガンの手術を受け、復帰した過去がある。

 
 ピム氏はJリーグの大宮アルディージャ、京都サンガでも監督を歴任し、2002年日韓ワールドカップではフース・ヒディンク体制下の韓国代表でアシスタントコーチを務め、4位入賞の快進撃を支えた。その後は韓国代表、オーストラリア代表、モロッコU-23代表などを指揮し、2016年12月にオマーン代表監督に就任。高度な堅守速攻スタイルを浸透させると、先のアジアカップ・グループリーグでは0-1で敗れたものの、森保ジャパンと大接戦を演じた。オマーン代表を初めてアジア16強に導き、国民を熱狂の渦に巻いたのだ。

 日本代表と数多の好勝負を演じた62歳が、早すぎる引退を決意した。
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