宮本ガンバがJ1相手の初実戦で見せた2年目の変化。ツネ監督が求めるサッカーに選手の反応は?

2019年02月07日 飯間 健

倉田秋は「すごく頭を使う」

2年目を迎えるG大阪の宮本監督。開幕へ向けていかなるチームを作り上げてくるだろうか。写真:滝川敏之

 狙った通りの形だった。開始3分、相手CKをクリアしてからのカウンター。最前線でボールを受けたFWアデミウソンの突破から、一気に右サイドを駆け上がってきたMF小野瀬康介がネットを揺らした。ボールを奪ってから、わずか数十秒。日本代表がロシア・ワールドカップ決勝トーナメント1回戦で戦ったベルギー代表のような鋭さで先取点を奪った。「あまり一緒にやっていない中で、お互いの良さを出し合えた」と宮本恒靖監督。より縦に速い攻撃サッカーを志向するなか、早くも結果が現われた。
 
 沖縄キャンプ中のG大阪にとって、6日のFC東京との練習試合(45分×3本)は今季初のJ1クラブとの対外試合だった。1本目のメンバーはほぼベストに近い陣容。アジアカップに参加していたGK東口順昭とDF三浦弦太、そして韓国代表FWのファン・ウィジョと新加入のDFキム・ヨングォンも出場した。そして開始10分までに2点のリードを奪う展開。昨季の沖縄キャンプでは京都や東京VなどJ2勢相手に見せられなかった"チームの形"が色濃く反映されたのは、開幕ダッシュを狙う意味で明るい。
 
 ただ我々は口当たりの良い、分かりやすい言葉を追い求めてしまうので自戒の念を込めて記すが、決して宮本監督は縦に速いサッカーだけを求めているわけではない。
 
 例えば1本目の途中、縦パスがスムーズに通らなくなった時間帯ができた。するとMF遠藤保仁がディフェンスラインまで下がってビルドアップに参加。それによってセンターバックの2人が左右に拡がってポジションを取り、両サイドバックがより高い位置に移った。これは「いろんな物にトライして見えることはある。すべてで速い攻撃ができるわけじゃない。メリハリを付けることが大事」と話す遠藤個人の感性でポジションを下げたプレーだったが、サイドから数的優位を作る意図を、ピッチ上の全員が瞬時に感じ取っていた。
 
 2点目を決めたMF倉田秋が「すごく頭を使う」と笑ったように"賢いプレー"こそが指揮官の最も要求するところ。すでに「ガンバのDNA」とも言うべきポゼッションサッカーは確立されている。速攻が無理ならパスをつないで崩す。逆にパスを回しつつ縦にスペースがあるならば、そのタイミングを見逃さない。「縦に速い攻撃」は得点までの引き出しを多くする手段で、目的ではない。指揮官は時間帯や流れ、相手との状況に応じた細かいポジショニングやプレーの選択を選手に強く伝えているという。
 
 次戦は9日、川崎が相手。2年連続Jリーグ王者にどれだけできるかは今季を占う上でも重要なゲームになる。
 
取材・文●飯間 健
 
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