【U-18プレミアリーグ】強豪チームの現在地|富山一編

2014年09月08日 森田将義

結果を出せず、選手ミーティングで再出発を誓う。

富山一
所在地:富山県富山市向新庄町5-1-54
創立:1959年 創部:1960年
主なOB:柳沢 敦(仙台)、中島裕希(山形)、西野泰正(讃岐)など

 前半戦で奪った勝点は5。12節の東山戦で2勝目を挙げて8位に浮上し、ひとまず降格圏内を脱した。3年間の強化計画の集大成として挑んだ昨シーズンは、悠々と残留を決め、選手権でも優勝を果たしたが、今シーズンは「3年生の代はカターレ富山U-18ができた年で、県内の優秀な選手が上から15人くらい獲られた。これまでと比べて、ガラっと質が変わる1年」(大塚一朗監督)という認識だ。
 
 例年ならば、1学年に30人ほどの部員が在籍するが、今年の3年生は20人と比較的少なめ。主将のMF西村拓真も「個のレベルが低い」と、能力的に例年よりも劣っていることを自認している。
 
 それでも、前半戦は「3年生たちに頑張ってほしかったし、夏までにどこまでやってくれるか見たかった」(大塚監督)と、3年生を主体にメンバーを構成した。開幕から5試合を終えて、白星がなくても想定の範囲内だったが、インターハイ予選は準決勝で敗退とまさかの事態が起きた。
 だが、「良薬は口に苦し」ということわざ通り、結果が出ない苦しみが、「俺らが選手権で優勝したわけじゃないのに、注目されたことで付け上がっていた。『俺らは日本一だから』という奢りがあった」(GK野崎仁)というチームの雰囲気を変えるきっかけとなった。3年生が話し合いを行ない、自分たちはまだ何も成し遂げていないことを再認識し、ゼロからチームを作り直そうと誓ったという。 

 インターハイ以降はメンバー構成も変わった。大塚監督が「5分だけしか出られない選手もいれば、10試合以上出る選手もいるなど出場時間はそれぞれ違うが、選手全員に1年に一度は絶対にチャンスがある」と話すように、富山一はセカンドチームがプリンスリーグ北信越、サードチームが県1部リーグに所属し、全選手に実戦の場を提供している。そうした環境の中で、春先からセカンドチームで経験を積んだMF久保佳哉と南田直樹の1年生コンビが、トップチームで両翼の座を掴み、指揮官に「将来のトミイチの主軸を担う存在」と言わしめるほどの働きを見せて、ボールの収まり所となっている。

次ページ攻守両面で徐々に見えてきたチームとしての形。

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