金田喜稔がカタール戦を斬る! 「悔やまれるゲーム。指揮官の“慎重すぎる采配”が完全に裏目に」

2019年02月02日 連載・コラム

“阿吽の呼吸”を失った中盤。

中盤は遠藤の負傷による欠場が小さくないダメージに。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 森保監督をはじめ、日本代表の選手やスタッフにはお疲れさまと言ってあげたい。

 ただ、やっぱり悔しさは残る。

 トルクメニスタン戦も、ベトナム戦もそうだったし、このカタール戦もそう。結局は5バックを用いて、堅守からのカウンターという戦い方を相手がとってきたときに、どう攻略するか。その明確な方法論を、最後まで見出せずに終わった大会だった。

 相手がどこであれ、今大会の日本が攻めあぐねるときはいつも同じ。もしトルクメニスタン戦とベトナム戦の経験から、どのようにしたらその堅守を崩し、勝利につなげられるかの答を、選手たちが共通理解として持っていたら…。

 たぶん、大迫のポストプレーを軸とした中央からの攻撃にはあれほどこだわらなかっただろうし、原口や堂安は、徹底して相手の背後を突くランニングを、前半のうちから見せていたと思う。ハーフタイムを挟んだ後半、見事に修正できていただけに悔やまれる。
 
 それと、塩谷のことを悪く言うつもりはないけど、やはり完成度が高まりつつあった柴崎と遠藤のコンビを使えなかったのは痛かった。彼らの"阿吽の呼吸"を失ったことで、中盤でのプレーが1タッチ、もしくは2タッチ多くなり、素早いパス回しができず、相手のマークにズレを生じさせることができなかった。

 それともうひとつ、森保監督の慎重すぎる采配が、この試合では完全に裏目に出た。選手時代から、しぶとく我慢強くプレーするタイプではあったけど、アクションを起こすのが少し遅すぎたようだ。

 カタールのサンチェス監督は、2点のリードを奪って迎えた後半の頭から、19番のアリを左サイドに配し、11番のアフィフをひとり前線に置く守備的な5-4-1システムに変更してきた。

 でも、森保監督は動かなかった。今大会を通して、その"動き出し"の遅さは気になっていたけど、このカタール戦も、ようやく武藤を入れたのは後半開始から15分以上が過ぎてからだった。

 前半を終えた時点で0‐2で負けていたわけだし、息が合っていなかったダブルボランチのどちらか1枚をハーフタイムに外して、代わりに武藤か伊東を2列目に送り込んだ4-1-4-1システムに切り替えるとか、そういう判断もできたはずだ。

 森保監督からピッチ上の選手に対して、なんらかのメッセージを伝えるような交代カードの切り方っていうのは、今大会ほとんど見られなかったけど、残念ながらこの決勝でもそれは変わらなかった。準決勝のイラン戦でも、指揮官が動いたのは遠藤と(酒井)宏樹にアクシデントがあってからだった。
 

次ページ権田が止めてくれる気がしていたが。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事