【東北新人大会】日本代表GKの母校を牽引する左サイドバックが面白い!仙台Jrユース出身のレフティはプロ入りを掴めるか?

2019年01月30日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

高校入学後にFWから左SBへ転向すると、1年次から活躍!

尚志戦では守備に重きを置きながらプレーした佐藤だが、機を見た攻撃参加で確かな存在感を示していた。(C)SOCCER DIGEST

 1月26日から28日に掛けて行なわれた東北新人大会は青森山田の2連覇で幕を閉じた。準優勝は今冬の選手権でベスト8に進出した秋田商、3位には同4強の尚志、4位には一昨年のインターハイ出場校で日本代表GKのシュミット・ダニエルの母校・東北学院が入った。
 
 上位3校に選手権で結果を残したチームが名を連ねた今回の東北新人大会。次いで4位に入った東北学院も今後の躍進が期待できるチームだ。幸先の良いスタートを切った宮城の注目校において、原動力となったのが10番を背負う佐藤大河である。
 
 新チームで主将を託された左サイドバックの武器は、身体能力を活かしたパワフルな攻撃参加と高精度のキック。利き足の左足で、ライナー性のボールやインフロントキックを使ったカーブ系の球質など数種類を蹴り分け、ゲーム展開に違いを生み出す。東北の左SBでは1位、2位を争う実力者だろう。
 
 28日に行なわれた尚志との3位決定戦でも存在感を発揮。佐藤はCKのチャンスで左足を振り抜いて先制点をお膳立て。その後にチームが追い付かれると、中学時代の主戦場だった最前線にポジションを移して抜群の攻撃センスを発揮する。延長後半に逆転された直後には、身体をぶつけられながらも左サイドを突破してゴール前にラストパス。惜しくも味方が決め切れずチームはそのまま敗れたが、身体の強さと技術力の高さを存分に見せてインパクトを残した。

 佐藤は仙台ジュニアユースの出身。突破力に長けたFWとして活躍し、ユースへの昇格も可能だったが、「勉強もきっちりとやりたかった」というレフティは東北学院でプレーする道を選んだ。

 高校ではチーム事情もあって左SBに挑戦。最初はFWへの想いを捨てきれずにいたものの、「上に行くのであればSBしかない」と新たなポジションを受け入れた佐藤は1年次のインターハイ予選からレギュラーとして活躍した。

 持ち前の攻撃力に磨きが掛けてきた一方で、課題だった守備もこの1年で大きく成長した。ポジショニングや1対1の局面での守備は見違えるようになり、本人も手応えを掴んでいる。「ヘディングが一番の課題」と本人が認めたように空中戦の強さを身に付けられれば、ひとつ上のステージも見えてくるはずだ。

「全国で1,2番のサイドバックになっていくのであればいいけど、その可能性は低い。であれば、大学に進んでプロでダメでもその後の人生に生かせるようにしたい」と佐藤は現時点で進学を考えているが、ポテンシャルは一級品。チームを2年ぶりにインターハイ出場へ導いて全国舞台で活躍できれば、東北随一の左SBが大化けしても、なんら不思議ではない。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
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