新チーム発足からわずか14日。王者・青森山田がエース不在を乗り越えて東北新人大会を連覇!

2019年01月28日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

選手権でブレイクした武田英寿を欠くも、決勝で秋田商を2-0で撃破!

今年のチームは経験値こそ浅いものの、昨年同様にタレントが揃う。ここから選手たちがどのような成長を遂げるか楽しみだ。(C)SOCCER DIGEST

 1月26日から3日間の日程で開催されていた東北新人大会の決勝が1月28日に福島県のいわきFCフィールドで行なわれ、青森山田が2年連続で6度目の優勝を飾った。

 今冬の高校サッカー選手権を制した青森山田が、新チーム発足後に臨んだ最初の公式戦できっちりとタイトルを掴んだ。

 35分ハーフで実施された秋田商とのファイナルでは、序盤から堅実な守りと縦に速い攻撃で主導権を掌握。前半24分には今大会の主将を任された浦川流輝亜(2年)のFKからキム・ヒョンウ(2年)が頭でネットを揺らし、さらに試合を優位に進めていく。後半に入っても攻撃の手を緩めず、開始早々の2分に裏へ抜け出したキムがGKをかわしてこの日2点目となる追加点を冷静に決めた。

 その後は相手の反撃にあったが、藤原優大(1年)を中心に守り切って最後までリードを維持。選手権ベスト8入りの主力メンバーを多く擁していた秋田商を寄せ付けず、青森山田が2-0で勝利を収め、東北王者の称号を手に入れた。

 試合後、今大会の指揮を執る正木昌宣コーチは大会を総括。「14日に選手権の決勝を終えてから、(東北大会の開幕まで)10日ちょっとしかない。4日間は雪の中で走って精神的に追い込んで、大会に入ってから戦術的にできるところをやってきた」と短い準備期間だったとしながらも、「昨日の準決勝と今日の決勝は無失点。ここ数年は(新人戦で)ひどいところがあったけど、しっかりと戦ってくれた」と大会中に成長した姿を見せた選手たちを労った。
 
 今大会の青森山田は多くの不安要素を抱えていた。正木コーチが明かしたように新チームは発足してわずか2週間しか経っておらず、さらにこの新人大会は高校選抜候補の合宿に参加していたU-18代表の武田英寿(2年)が不在。先の選手権でピッチに立ったのは藤原優大のみで、その他は昨季のスカッドを陰から支えていた選手たちで経験値も浅い。

 チーム事情から中盤の底が本職の藤原をCBで起用するなど、選手起用にも四苦八苦。そうしたなかでチームはキャプテンの浦川を中心にまとまり、一戦ごとに成長を遂げていった。

 ただ、選手たちは現状に満足していない。「決勝を無失点で終えて、2-0で勝つことができたのは本当に良かった。でも、今日の内容では全国で勝てない。嬉しさもあるのですが、チームの改善点も見つかった。90分勝負のプレミアリーグや暑いなかで戦う夏のインターハイで勝つために、もっとハードワークができないといけない」と浦川は言う。先輩たちが偉業を成し遂げただけに重圧もあるが、青森山田は課題と向き合いながら再び日本一を取るに相応しい集団を目指す。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事